口蹄疫 宮崎県で猛威

人にはうつらず、感染した家畜の肉や乳を口にしても大丈夫

                                                                        22..25

  家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)が、畜産王国の宮崎県を揺るがしています。

政府は、発生地域の半径10km以内のすべての牛豚にワクチンを接種した上で殺処分する方針を決めましたが、その対象は16万頭程度となっています。

22日、感染疑いが確認された種牛のエース「忠富士」の殺処分が終わり、約2万2千頭の豚にワクチンが接種されました。

ワクチン使用は国内初のことで、ワクチンは、拡大のペースを抑えるだけで感染そのものを防ぐことはできないことや、感染牛は食欲不振になって満足な肉牛に育たないことなどから、接種後に殺処分されるのだそうです。

 

口蹄疫の「蹄」は「ひづめ」の意味で、牛・豚・羊などの偶蹄目の動物に感染しますが、「人」には感染せず、感染牛の肉や乳を口にしても人にうつることはありません

動物同士の接触での感染が主ですが、感染動物と接触した人によって運ばれたり、ネズミなどの野生動物が媒介するケース、感染動物の糞やよだれが付着した車やタイヤで運搬され感染するなどが想定されています。

昨年から韓国や中国でも流行しており、ウイルスは海外から持ち込まれたとみられていますが、感染経路は不明です。香港で見つかったウイルスとは遺伝子的にほぼ近似ということも分かっています。

2000にも、宮崎県や北海道で発生し、このときは740頭の牛が殺処分されました。輸入した麦わらに付着したウイルスが感染原因ではないかと推定されたのですが、本当のところは不明のままです。

10年前のウイルスのほうが感染力は弱かったようですが、本来、牛よりは比較的うつりにくい豚への感染が今回は目立ち、感染が成立した場合には、牛の1003000倍ものウイルス量を排出するため、豚に感染した場合は手が付けられないとも言われているようです。

 

今は宮崎県に限られているので牧畜関係者以外、特に本州の人は他人事のように思っている人が少なくないでしょうが、ひとたび足元に火がつくと、大混乱と風評被害が拡大するのは昨年の新型インフルエンザ騒ぎで経験済みのことです。

和牛の卸値が1割程度下落しているようですが、これはデフレや消費者の節約志向のためといわれ、口蹄疫の影響そのものは未だ不確定だそうです。今後の流行情況次第では消費者心理に水を差すことがありえないことではありません。

さらに、口蹄疫といえば、2001年の英国での大流行を思い出します。

英国全土を巻き込み、人を介したまん延を防ぐために学校・動物園・公園の閉鎖や、競馬、ラグビーなどのスポーツ大会中止の動きが広がり、ハイキングは原則禁止、当時のブレア首相は市民に農場に近づかないように異例の呼びかけまで行いました。騒ぎは英国だけに留まらず、欧州各国でも輸入家畜の処分に踏み切ったのです。

2001年3月1日の朝日新聞は、殺処分された豚や牛が干し草や鉄道の枕木と一緒に火を放たれ、空を赤々と焦がす光景が英国各地の農場に広がっている。感染の不安は英国のみならず国外にも波及、欧州全域をパニックに陥らせた狂牛病の悪夢がよみがえると報じています。

この時は、農業の集中化と流通のグローバル化が生態系の破壊だけでなく、食品の安全や消費者の健康まで損なっているとの批判もありました。

香港では毎年のように口蹄疫の発生を見るとも言われています。

海外のこのような前例に学び、早急な隔離や殺処分、ワクチン接種などの対応がなぜできなかったのでしょうか。

 

今回の口蹄疫流行を教訓とし、第二波の流行が予想される新型インフルエンザに対しても、前回流行で学んだ経験や反省を糧にして、同じ轍を踏むことなく大流行に備えるべきではないかと思われます。