新型インフルエンザ  ワクチン騒動と来シーズンの課題

 10.6.29    
   

 厚生労働省は、来シーズンの流行に備えたインフルエンザワクチンは3価とすることを623日に決めました。

3価というのは、新型が「A/カリフォルニア/7/2009(H1N1)pdm高増殖株X-179A」、A香港型は「A/ビクトリア/210/2009(H3N2)高増殖株X-187」、B型は「B/ブリスベン/60/2008」と、3種類のウイルスに対するワクチンが混合されているという意味です。   

A/ B/ のあとのカタカナ名や数字は、ウイルスが分離された場所、ウイルスの整理番号、分離された年、A型の場合はその亜型を示しています。

いずれも来季に流行しそうなタイプ株が科学的に割り出され、選択されています。

昨シーズンは新型インフルエンザと季節性インフルエンザワクチンを別々に接種しましたが、来シーズンはAソ連型の代わりに上記のA/カリフォルニア/7/2009(H1N1)pdmを置き換えた3種混合ワクチン1種類の2回接種でよいということになります。

新型インフルエンザワクチンの接種回数について、昨シーズンは混乱し、1016日の厚労省専門家会議において「13歳以上は原則1回接種」で決着をみたものでした。

季節性インフルエンザワクチンについては、10歳以上は1回接種で十分な効果が得られるのではないかという意見も強いのですが、新しいワクチンに変わったことでもあり、13歳までは2回接種を原則とすべきでしょう。

 

国内でインフルエンザワクチンを製造販売するメーカー4社は5月、現行の子どもへの接種用量を増量し、WHO(世界保健機構)が推奨する用量に変更するための「薬事法に基づく申請」を国に提出しました。審査が順調に進めば、流行シーズン前までに用量が変更される可能性があるということです(5月29日、日経夕刊)

現行用量では効果が薄いという指摘は以前からあったのですが、特に1歳未満は0.1_gというのが不評で、WHOが推奨する用量「3歳未満に0.25_g、3〜13歳未満には0.5_gを2回」に合わせるというのが趣旨のようです。

 

昨年は、不足するワクチンを補うため、国産とは製造方法の異なる海外メーカーのワクチンまでも緊急輸入して急場を凌いだのですが、年初から流行は急速にしぼみ輸入ワクチンは大半が使用されないまま有効期限が迫るという事態を招きました。

医療機関においては、ワクチン不足やら優先接種をめぐる迷走などから大混乱が巻き起こり、挙句はワクチンの膨大な在庫を抱えたままシーズンを終えるという結末まで待ち構えていたということで大いなる不満と批判残したパンデミック騒ぎでした。

政府は2月中旬から輸入ワクチン9900万回分1126億円で購入したものの、自治体からの注文は僅か100回分程度というありさまでした。

在庫を少しでも減らすべく、政府は英国の大手製薬会社グラクソ・スミスクライン(GSK)と交渉して同社から購入予定のワクチン7400万回分のうち2368万回分(32)購入契約解約に合意したものの経費節減は57億円に留まっています(3月25日)

もう一つの海外メーカーであるノバルティス社とも、6月末に838万回分(約92億円)の契約解除に至ったものの1662万人分(約214億円)は期限切れで廃棄処分にという誠にもったいない話となりました。先に述べたように、来季のワクチンは新型インフルエンザ用も含んだ3価ワクチンなので、備蓄されている新型単独ワクチンは使いにくいことになります。

ドイツ政府は接種率の伸び悩みを見越して、1月はじめには注文したワクチンの3割の解約をGSK社に取り付けたそうですが、需要予測と交渉力の差が出た感は否めないようです。