今こそ ワクチン後進国の汚名返上を!

公費負担で、もっと多くのワクチンの定期接種を

2010.10.5
                     

 

  「ワクチン後進国」、これはわが国につけられたありがたくもない汚名です。

 

いまワクチンに関する議論が盛り上がっているのも偶然のことではありません。

昨年の新型インフルエンザのワクチン騒動をきっかけに、予防接種について人々の関心が高まっているだけではなく、乳幼児に重症の髄膜炎を起こす細菌の「インフルエンザ菌bHib)ワクチン」が平成2012月にやっと発売されたのを初め、重い感染症の原因となる「肺炎球菌」感染を予防できる国内初の小児用ワクチン(プレベナー)22年2月に実用化、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(サーバリックス)の接種開始、さらには平成17年から事実上中断していた「日本脳炎」の定期接種が新開発のワクチンで再開されるなど、話題に事欠かない状況にあるからなのです。

 

海外で普及しているワクチンでも日本では認可されていないものや、たとえ承認されていても定期接種の対象となっておらず、任意接種のために自己負担が大きい予防接種も少なくありません。

国が予防接種に消極的であるばかりではなく、ワクチンの効果よりも副作用の方を問題にしがちな一部の国民の姿勢にも問題がありそうです。種痘や三種混合ワクチンなどによる過去の予防接種禍とその解決に対する国の消極的態度や責任逃れ、マスコミのミスリードなどによって国民の姿勢というものが形作られてきたようにも思われます。

このような洗脳を受けて醸成された国民の予防接種観は、MRワクチン(はしかと風しんの混合ワクチン)の接種率の低さにも反映されており、特に3期(中1)、4期(高3)の接種率の低迷ぶりは象徴的で、今や社会問題ともなっています。

はしかの患者数に関するWHO(世界保健機構)の08年の統計によると、日本は、中国、インド、インドネシア、今後についで5番目に発生が多いというのです。「はしか輸出国」の汚名も今に始まったことではありません。

 

ワクチンで予防可能な病気(VPDは可能な限りワクチンでという戦略についての国の格差は、先進諸国の間でも非常に大きく、接種に最も積極的な国の代表は米国、その対極に日本があると言えるでしょう。

予防接種への熱意の有無は定期接種用の予算の少なさにも表れています。

子どもや家庭へのわが国の福祉予算は、北欧諸国やフランスなどの10数パーセントと比べて低く、約4%と数分の一に過ぎません。「子ども手当バラマキ論」に象徴されるように、子育て支援に関する政策への世間の風当たりが強いことも否定できない事実です。ワクチン定期接種の拡充が思うに任せないというのも仕方がない現実というには余りにも淋しい話です。

このように、接種禍がもたらした負の遺産と予算配分に関する国の姿勢が今日のワクチンの接種況を作り出したと考えられます。

 

現状への反省から、厚労省は昨年末に「厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会」を大臣直属の審議会として立ち上げました。

その会合が9月14日に開かれ、VPDの予防接種はすべて公費負担にすべきだと

の意見が噴出したとのことです。さらに、子どもが予防接種を受けられるかどうかが親の所得によって左右されるような状況は望ましくないとの意見も述べられたそうです。

 米国にはACIPという予防接種に関する権威ある諮問機関が存在し、ワクチン戦略を先駆的に推進していることから、わが国にも日本版ACIPを立ち上げワクチン政策に対する提言ができるような組織を緊急に作ることが必要なことも確認されました。