はしか輸入国 ?

         2011..15   

 「はしか輸出国」。 先進諸国には珍しい「はしか」の流行がみられ、時に海外への旅行者が旅先に「はしか」を持ち込むことがあるために、わが国に付けられた不名誉な汚名です。

 「はしか」がどこの国のものか、身元は「はしかウイルス」の遺伝子型解析で割り出すことができます。

 わが国におけるはしか(麻しん) MRワクチン接種率の低さがはしか流行の背景にあることから、ワクチン接種率をいかに高めるかが大きな課題となっており、厚生労働省は平成24年までに国際的目標である「排除」(流行のない状態

Elimination)のために、平成18年度から予防接種対策強化を進めてきました。

 それまで生後1224ヶ月(第1期)に1回だけ接種していたワクチンを、平成18年度からは第2期として小学校入学前,年度の1年間に、さらに、24年度までの経過措置として中学1年(第3期)、高校3年(第4期)も定期接種の対象としたのです。

 このような努力もあって接種率が向上したとはいえ、20年度は第1期94.3、第2期91.8%と伸び悩み、WHO(世界保健機構)が流行予防の目安とする95%には届きませんでした。

第4期(高3)に至っては77.3%、(第3期(中1)は85.1%)と低迷。しかし、はしか患者は減少の一途をたどって、20年の11,015人が21年には741人にまで減少してはいるものの、「排除」までには至っていないのが現状です。

何としても「はしか輸出国」の汚名は返上したいところですが、2月12日付の産経新聞は、『はしか「輸入」急増』という記事を載せています。

一瞬読み間違いかと思いましたがそうではなく、最近、はしかが海外から持ち込まれるケースが増えているという国立感染症研究所の集計結果の紹介記事なのです。

1月3日から23日の3週間に全国の医療機関から報告された18人のはしか患者のうち、5人はフィリピン、英国、スペイン、ベトナムで感染したものだということで、フィリピンや中国などアジアが感染地域の中心とされています。

南アフリカでも、平成21年以降はしかの流行が続いており、現地に行く人で罹患歴のない人やワクチン未接種者はワクチン接種が望ましいという警告が昨年に出されています。

厚生労働省の「麻しん対策推進会議」は、今年度に高2の生徒が修学旅行などで海外に行く際に「はしかの予防接種」を受ける場合、費用を公費負担とし定期接種の対象にすることを決めています(平成2211月)。 

接種率の低さはわが国の専売特許でもないらしく、ヨーロッパでも、2010年までにはしかウイルスを撲滅するという計画は、ワクチン接種率が不十分なため達成できない可能性が高いことが、デンマークStatens Serum研究所の調査で明らかにされています(2009年2月、Lancet)。