Hib(インフルエンザ菌b型)ワクチン 第2の混迷

                                                       2011..

 日本経済新聞の3月1日朝刊は、38面の片すみに 「ヒブワクチン接種後死亡」という12行の簡単ではあるもののショッキングな記事を載せています。

細菌性髄膜炎の約半数はHib (ヘモフィルス・インフルエンザ菌B型)によって引き起こされるだけに、ワクチン接種の恩恵は計り知れないものがある期待の星といえるでしょう。

わが国におけるHibによる細菌性髄膜炎患者は年間約500人、少数とはいえ、生後3カ月〜1歳児をピークにひとたび罹患すると数%が死亡、約20%の乳幼児にてんかんや発達障害などの深刻な神経学的後遺症を残すという悲惨な病気なのです。

 当初、2007年末に発売予定であったものが、製造発売元サノフィパスツール第一三共の「厳しい品質管理と安定的な供給体制を整えるのに時間を要した」とする意向によって、200812月に2年越し、世界に隠れること10年で、やっと発売に漕ぎつけたいわくつきのワクチンなのです。

 発売当初から、需要と供給のアンバランスからワクチン不足となり、予約しても1年も待たされるという本末転倒の状態。昨秋やっとのことで安定供給に入り、2月からは多くの自治体で公費負担制度の対象となって無料で接種が受けられるという朗報の矢先のこのニュースです。

 症例は10ヶ月未満の男児で、2月28日に、専門家で構成される厚労省の副作用検討会で報告されたそうです。

患児は平成2211月、2回目のアクトヒブ(ヒブワクチン)接種の14時間後に呼吸停止で発見され、救急搬送のうえ高度集中治療を施されたものの蘇生かなわず不帰の転帰をとったという悲しい報告です。

 外傷や窒息の所見もなく、死後のCT画像診断でも頭部には著変見当たらず、ワクチン接種との因果関係は不明SIDS(乳児突然死症候群)の可能性も示唆されるケースと考えられているようです。

 細菌性髄膜炎予防の切り札と考えられていただけにお母さん方の接種意欲に水を差さないことを祈るばかりですが、ワクチンとの因果関係の一刻も早い解明が期待されるところでしょう。

 ワクチンの誤った需要予測から混乱がもたらされたという前歴があるだけに、この事例に関するメーカーや検討会の見解を早く示して頂かないことには、接種に与る我々もある種の躊躇いを感じざるを得ないというのが本音と言えます。