キュウリで食中毒?

                                                         2011..31

  メディア各社は、腸管出血性大腸菌「O104の感染者がヨーロッパ全域に拡大し、死者がすでに10人にもなったドイツでは、30日に連邦政府と州の保健担当者の緊急会議が開かれる予定という報道を伝えています。

 報道によると、原因はスペイン産のキュウリによるとみられる食中毒で、ドイツ保健省の発表では患者は1200人以上、うち約300人は激しい下痢に悩まされているとのことです。同様の症例は、スウェーデン、デンマーク、イギリス、オランダ、フランスなど欧州全域に及び、EUは各国に注意を呼びかけるとともに、水や土の分析を進めています。

 

 わが国では、生ユッケの大腸菌0111による食中毒が世間を騒がせたばかりですが、野菜が原因ということになれば、ヨーロッパの出来事だと対岸の火事視を決め込むわけにも行かないようです。

 0157以外の菌では今まであまり問題になって来なかった腸管出血性大腸菌による食中毒、それも重症例が立て続けに発生するというのは偶然ではないのかも知れません。

大腸菌は菌株同士で遺伝子を交換して変異する傾向が強く、ベロ毒素を産生しHUS(溶血性尿毒症症候群)を引き起こす可能性を有する強毒化が起こっているのではないかと考えられています。

 O111O157の「O」というのは耐熱性菌体抗原であるO抗原」の「オー」160種類以上に分類され、一方、菌の鞭毛抗原である易熱性のH抗原は60種類以上が知られています。このうちベロ毒素を産生するO抗原としては、全体の80%を占めるとされるO157をはじめ、O26O111O1など20数種類が代表的な菌として知られています。今回のO104という種類は余り馴染みのない菌型ともいえます。

 

 今のところ日本で野菜を介して腸管出血性大腸菌感染症が広がるということはないとは思われますが、野菜の衛生管理に十分な配慮が求められることです。

 サラダなど生野菜として食することが多い食材だけに加熱を求めることは現実的ではないでしょうが、野菜は新鮮なものを選び、十分に洗浄すること、キュウリやトマトなどは皮を向いたものを使用すること、カリフラワーやブロッコリーなど隅々まで十分な洗浄が期待しにくい複雑な形のものは熱湯でゆがくようにすることなどが注意点として挙げられるでしょう。

冷蔵庫での保存を重視しても冷蔵庫を過信しないことも大切なことではないかと思われます。