病原性大腸菌感染症 その後

                                                    2011.6.21

 富山、福井両県の焼肉チェーン店でユッケなどの生肉を食べた客4人が死亡した集団食中毒事件は、その後の調査で、死亡した男児2人と富山県内の感染者3人から検出された腸管出血性大腸菌O111の遺伝子型が一致したことから、焼肉店に納入される前に肉は汚染されていたと推定されています。

 ドイツ北部を中心に欧州で拡大したO104 感染症は、6月12日には死者35人を数えるに至り、深刻な影響を受けている農家に対する補償や支援のために、EU(欧州連合)は加盟27カ国に対して1億5千ユーロ(約176億円)の拠出要請を行いました。  

感染源はモヤシではないかということになっていますが断定はされておらず、当初犯人扱いにされたスペイン産のキュウリはとんだぬれ衣であったようです。

 さらに6月2日には、富山県の牛角高岡店で食事をした客20人が腹痛・下痢を訴え、うち15人から腸管出血性大腸菌O157が検出されたのをはじめ、三重県は19日、3歳女児がO157による腸管出血性大腸菌感染症(HUS併発)で死亡したと発表。この女児には生肉の喫食歴はなく、原因は今のところ不明とのことです。

1996年に、堺市の小学校におけるO157に汚染された学校給食で10,000人を超える集団感染例を経験した大阪府では、府の食の安全推進課が「食肉の生食にご用心」と題して「特に小さな子供が感染すると重症になることもあるので、予防のためにも生レバーやユッケを食べさせないように」と注意を喚起してきました。

 内閣府食品安全委員会も、「牛肉を生で食べるのは控えること」を呼びかけていますが、富山・福井両県での事件以来2ヵ月を経て人々の記憶が薄れるにつれて、焼肉店などで生レバーやユッケを求める客が増え始めたのも事実のようです。

溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などの重篤な合併症を起こす危険性のある「ベロ毒素」産生菌は、強い酸抵抗性を示し、胃酸の中でも生き残って腸に達すると考えられています。

 生肉を食べる場合、基本的には感染の危険があることを認識しておく必要があります。

 厚労省は98年に「生食用食肉の安全基準」を策定し、食肉処理場や飲食店に対して、「菌の付着が想定される肉の表面はトリミング(専用ナイフでの削り取り)」を施すことや、生レバーを取り扱う場所は他の内臓の取り扱い場所と明確に区別する」などの衛生基準を守るべき通知を出しました。今回の事件では、本来は生食用でない肉をトリミングもせず客に供していた不備が指摘されています。