どうして私ばかり・・・

世の中にかほどうるさきものはなし ぶんぶといふて夜も寝られず

                                              2011..30


                                               

  猛暑のわずらわしさはともかく、蚊の羽音ほど耳障りなものもないでしょう。

  標題の狂歌は、江戸時代に松平定信が断行した寛政の改革を風刺したものと言われています。「かほど」(これほど)と「蚊ほど」、蚊のぶんぶんという羽音と時の「文武」第一主義をからめて皮肉ったものです。

蚊に刺された時の不快感と叩き潰しに成功したときの快感は例えようもありませんが、どういうわけか蚊に刺されやすい人とそうでもない人に分かれる傾向があります。

虫さされは専門用語で「虫刺症 チュウシショウ」といいますが、刺されやすい人にとっては不公平なことこの上なしということになります。

 ブツブツができたからという訴えで受診されることも少なくないのですが、発疹の診断はやっかいで医者泣かせです。明らかに蚊に刺されたと分かるものはともかく、今季のような変則的な手足口病の流行や、アセモもどきが点在するとなると思わずウーンということになりかねません。

 蚊に咬まれた疹でしょうと言っても、同じ部屋に寝ているのに子どもばかり咬まれるのはおかしいといってなかなか納得されないお母さんも少なくありません。

 蚊アレルギーのことは以前にもお話しました。蚊は刺した時に、痛みを感じにくくする成分と血を固まりにくくする物質などを含んだ唾液を皮膚に注入します。

蚊だけではなく昆虫に刺された時には、その昆虫の唾液に含まれる種々の物質に対する皮膚の「即時反応」と「遅延反応」が二段構えで起こります。

生まれて直後には刺されても余り赤くならないようですが、何度か刺されているうちに、刺されて数時間くらい後に赤く腫れ始め、2448時間でピークになって暫く赤く腫れたままになります。これが遅延反応というアレルギー反応にあたります。場合によってはそのまま硬いしこりになって残る「痒疹 ヨウシン」になります。

 蚊は、人が吐き出す炭酸ガス(二酸化炭素 CO2)や皮脂に引きつけられる性質があり、より体温の高い人、乳酸が多く含まれるとされる、黒色の衣類などに寄ってきやすいと言われています。

新陳代謝が激しく体温も高め、汗っかきの子どもの方が刺されやすいのは当たり前かも知れませんが、蚊も動物ですから反撃をくらいにくい赤ん坊を狙うのは本能とも言えましょう。血液型O型の人が刺されやすいとか、B型肝炎にかかったことのある人は刺されにくいという珍説も入り乱れ、防御策は混沌というのが偽らざる感想です。

今どきの蚊は蚊取り線香などものともしないつわものが少なくなく、蚊の出没しそうな所には行かないのが何よりですが、やむを得ない時は、以前にも触れたことのあるディートなどを含んだ虫よけ剤を利用するのがベストでしょう。