不活化ポリオワクチン 承認され定期接種化へ

                                                   2012.5.8

  厚労省は4月27日、フランスのサノフィパスツール社の不活化ポリオワクチンIPV:イモバックスポリオ皮下注)の製造・販売を承認しました。

これにより今秋9月からの定期接種は、現在の経口生ワクチン(OPV)からIPVに全面的に切り替えられる公算が強くなりました。

 

イモバックスポリオ皮下注は1982年にフランスで発売され、現在86ヶ国で承認されているワクチンで、未だOPVを用いているのはわが国とインド、アフリカの一部などにすぎません。

IPVの承認待ちを期待してポリオワクチンの接種控えが拡大していることは前回にも触れましたが、事実、2011年秋シーズンのOPV接種率は前年同期比15.2%減の75.6と推測され(従来の接種率は95%前後で推移)、免疫のない児童でのポリオ流行が危惧されているのです。

 

「ポリオワクチンをめぐる混迷」については、昨年10月4日の本欄でも報告した通りです。

生ワクチンによるワクチン関連マヒ(VAPP) 20012010年の10年間で15名、100万人につき1.4)を不安視する保護者の一部は、個人輸入のワクチンを自己負担で受けていたのですが、今回の措置で課題の大部分は解決することになるでしょう。

9月にはIPVの接種開始を進めたいというのが厚労省の意向のようですが、IPV実施方法の細部の詰めが不十分なため接種現場での混乱は避けられそうもありません。

@    接種の対象年齢は生後3ケ月から90ヶ月未満

A    接種回数は4回(初回接種3回・追加接種1回

B    接種間隔は初回接種が2056日、追加接種は初回接種 終了後6ヶ月以上

C    標準的な接種年齢は、初回接種が3ケ月〜12ヶ月未満、

追加接種が初回接種終了後1218ヶ月未満

D    2種類以上のワクチン同時接種は、医師の判断で

となっていますが、既に生ワクチン(OPV)を2回受けている者は接種不要という決まりです。

 従来のIPV任意接種において、IPV単独では十分な免疫効果が得られない懸念から、IPV接種後の生ワクチン(OPV)の追加接種を奨める医師も少なくなかったのですが、9月にOPVからIPVに一斉に切り替わるとしたら、この手法は用いられなくなることになります。

OPVからIPVへの一斉切り替わり以後、現行のOPVは定期接種には使用しないのが厚労省方針だそうですが、現製造分の有効期間が2年間あるため、2014年の夏までは対応可能といわれています。ただ一般の医療機関での生ワクチンの取り扱いは慎重を要するため、対応に困難な場面も出てきそうに思います。生ワクチンを飲むのならOPVの副作用回避の意味がないという思いがなくもないでしょうが、IPV接種で血中抗体が上昇しておればOPVの副反応は危惧することはないと考えられているようです。ただIPVによる抗体獲得のないケースや、IPVによるADEM(急性散在性脳脊髄膜炎)が皆無とはいえないという問題は残るかもしれません。

 

問題は不活化ポリオワクチンが9月1日に解禁になった場合、待機組も含めて接種希望者が殺到してワクチン不足になる懸念があり、医療機関での大混乱が予想されることです。

 11月には三種混合ワクチン(DPT)に不活化ポリオワクチンを加えた国産の4種混合ワクチンが販売される予定になっていますが、国産の単独不活化ポリオワクチンは治験も済んでいない関係上、すぐに使用可能になる情況にはないようです。

過去に受けたポリオワクチンの接種歴によって追加すべきワクチンの種類や回数をどうするかも重要な課題となってきます。

DPTを1回以上接種されている場合には、単独の不活化ポリオワクチン使用が原則となっています。今後の治験で、単独の追加接種(4回目)や、単独の不活化ポリオワクチンと4種混合ワクチンを併用する場合の効果や安全性などの課題が解決されれば、接種方法と対応の見直しが行われることになるものと思われます。