寝る子は育つ

                                               2012.10.

 「寝る子は育つ」というのはわが国で昔から言い古されたフレーズです。

 

 「寝る子は脳も育つ」 という研究成果が最近発表され、9月18日の日経新聞をはじめ各紙やテレビが報じましたので、ご覧になった方も少なくないことでしょう。

 東北大の滝靖之教授らの研究チームは、「睡眠時間の長い子どもほど、記憶や感情に関わる脳の部位『海馬』の体積が大きかったことを突き止め、その成果は9月18日から開かれた日本神経学会で発表されたというのです。

 研究チームによると、うつ病や高齢者のアルツハイマー病患者で、海馬の体積が小さいことが明らかになっており、「子どものころの生活習慣を改善することで、健康な脳を築ける可能性がある」と考えが示されています。

 健康な5〜18歳の290人の平日の睡眠時間と、それぞれの海馬の体積の関係を調べた処、睡眠が10時間以上の子どもは6時間の子どもより、海馬の体積が1割程度大きいことが判明したと報告しています。

 

 睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠に分けられることが知られていますが、乳児期はこの区別がまだはっきりしておらず、体内時計も未熟なために外界の概日リズムと無関係に睡眠・覚醒のパターンを繰り返しています。2歳頃になると次第に睡眠時間も短縮し、レム睡眠も大人と同じように成熟、幼児期には熟睡量も最大となって成長ホルモンの大量分泌に結びつくことになります。その結果、身長がぐんぐん伸びることになるのです。

 

 最近は宵っ張りの赤ちゃんも増えた結果、ある調査によれば、夜10時以降に就寝する3歳児の割合は、平成12年には52%に達し、昭和55年時のそれと比較して2.5倍にもなっているそうです。睡眠不足によって「キレやすい子」になりやすく、衝動的な行動を取りがちになることは以前から懸念されていた事実です。

 

 重度の睡眠不足は高血圧や肥満、糖尿病などの疾患の発症と関係していることは知られていましたが、最近示されたオランダや英国の研究によると、慢性的な寝不足が免疫系障害の危険因子であることが分かったというのです。寝不足が続くと、身体的ストレスを反応して顆粒球という血球の産生が促進されることが判明、これは睡眠不足の免疫系への影響を反映したものだと考えられています。