これで安心?

3法一元化 食品表示 ルール統一

                                                 2013.5.14

 政府は4月5日、食品衛生法、日本農林規格(JAS)、健康増進法の3つの法律の食品表示基準を一元化し、新たな「食品表示法」を制定することを閣議決定しました。(産経新聞、4月6日)

この法案には、食品表示による安全性確保と情報提供は「消費者の権利」と明記すると共に、表示違反食品の回収命令などに応じない法人には3億円以下の罰金を科するなどの罰則強化がなされており、早ければ平成27年春に施行される予定となっています。

しかし、外食や、加工食品の原料原産地表示などの表示義務は拡大されずに現行の範囲内に留まったため、消費者の不安は拭えぬままとなっています。

 最近、ファミレスや一部加工食品の中には中国からの輸入食品や、原産地表示がはっきりしないものが少なくなく、国産品かどうか分からぬメニューを選んでいる問題が新聞、雑誌やテレビで取り上げられる機会が増えています。

 残留農薬の問題ばかりか、中国の乳製品に有害物質のメラミンが混入していて乳幼児の死亡につながった事例、汚染ギョウザ問題、4年前の中国産ウナギ偽装事件ナドナド、枚挙に暇がないほど疑問が湧き出てくるではありませんか。

 経済成長が中国の一党独裁を正当化するものである以上、環境を犠牲にしてでも成長を維持することが中国指導者にとって至上命題となることはやむを得ないことなのかも知れません。

 最近、小児科の外来には中国出身の方も随分多く訪れるようになり、中国食糧事情を耳にすることが少なくありません。富裕層のみならず、時々中国の実家に帰省する人ならそれが例え山村や僻地の場合でも、中国産の牛肉や鶏肉は極力食べないようにしていると言う人が増えているように思われます。

うなぎや牛、鶏なども、成長ホルモンや抗生物質の乱用で安全性に疑問符がつくというばかりではなく、中国版イタイイタイ病(カドミウム米)に代表されるように、金属鉱山や化学工場から排出されたカドミニウムや砒素、水銀、銅などの重金属による土壌汚染に起因する農作物への影響、そしてそれを日常的に口にする危険性を国民が問題視し始めた点に事態の深刻さが感じられます。

それにしても食品の安全性が今ほど問題にされる時代も珍しいでしょう。

 昨年7月からは牛の生レバーの販売が禁止され、どうしても食べたい人も少なくないことから、「放射線による殺菌」も検討され始めました。

真空パックで冷凍された国産の生レバーにコバルト60を照射して、照射前後の色や臭いなどを比較した結果、殆ど変化がないことが実証されています。

 WHO (世界保健機構)などの専門委員会は、照射が10`グレイまでなら毒性は生じないとする検証結果を発表、これを受けて米英や中国など50ヶ国以上が食品照射を認めているのです。

 しかし、放射線が食品内に残留することはないものの、照射によって食品の成分が有害物質に転じるリスクまでは否定できず、今や常識となっている香辛料に対する照射をめぐる議論や、油脂を含む食品への照射によって脂肪酸が変性して新しい化学物質が産生され、これが発がん物質と一緒になった場合にはその発ガン作用を強める懸念も持たれているところから、照射に対する抵抗感は、わが国ではまだまだ少なくありません。

 一昨年9月には、福島第一原発事故で飛散した放射性セシウムに汚染された稲わらをエサにしていた牛の汚染牛肉問題に端を発して、給食に牛肉を使ったメニューを外す教育委員会が相次ぐ出来事がありました。

 汚染牛の固体識別番号は公表されているものの、風評被害の形で保護者の不安が広がり、教育委員会がこれに呼応したものです。

日本は食の安全・安心には世界で最も厳しい国のひとつです。

個体識別番号から、牛の飼育場所や飼育者 の名前など、生産の段階から加工、流通経路、販売にたどり着く各段階の情報:トレーサビリティは、現在は牛肉とコメに限定されていますが、このトレーサビリティーの思想を広める努力が求められるところでしょう。

 スーパーのイトーヨーカドーのように野菜の産地や生産者の情報までも提供している業者があるかと思うと、食材の原産地に関する最近の週刊誌の記事のように、公表を阻む会社もあるところから、今回の「食品表示法」の精神に理解のない会社を選択するかどうか、それは賢い消費者に求められる姿勢と言えるのではないでしょうか。