食物アレルギーに社会的関心高まる !?

カシューナッツゴマ  アレルギー表示推奨品目に追加

                                                                                       2013.6.3

加工食品にアレルギー物質として表示を推奨する品目に、新たにカシューナッツとゴマを加える方針が決められました。内閣府の消費者委員会・食品表示部会が、5月30日にこの方針を了承したのを受けて、消費者庁は今後、都道府県への通知などの手続きを進める方針を固めたようです(5月30日、日経夕刊報)

食品衛生法は、平成14年4月から、加工食品に表示を義務付けた「卵、乳、小麦、そば、落花生」と、さらに20年6月に追加したエビ、カニなど、計7品目特定原材料と、表示を「推奨」している大豆や鶏肉、イカ、バナナなど特定原材料に準ずる18品目を指定し、食べても安全な加工食品を選べるようにしたのです。

表示が勧められている食物は今回の措置で20、表示されるアレルギー物質としては27品目となります。

ただ食物アレルギーは、その時の体調や自律神経の調子で症状が軽くなったり重症化したりする傾向があるため、特定の食べ物に対する反応が時と場合により違うということを念頭においておかねばなりません。

これら食物による異常は、免疫学的反応(多くはIgE抗体) を介して起こる「食物アレルギー」と呼ばれており、原因物質となる食べ物を摂取した後すぐに(5分〜2時間)発症する即時型アレルギーが中核をなしています。

乳幼児期にアレルギー症状を起こした子どもでも、約9割は小学校入学までには原因食材を食べられるようになると考えられており、除去食の重要性が強調される一方で、根拠のない食事制限からくる栄養上の問題への対応も大切となってきます。

食物アレルギーの栄養指導の手引き」では、食物アレルギー患者は、治療の一環としての除去食生活中であっても、@適切な栄養素を摂取する、A患者および保護者のQOLを維持するべきこと が強調されています。 

大部分の人にとっては美味しく滋養にもなる食べ物が、一部の人には、じんましんや喘息などの不利益な症状をもたらすことがあり、激烈な場合には、呼吸困難、血圧低下、意識消失などの症状を伴う「アナフィラキシーショック」を起こして命にかわることもあるのです。

学校給食でアナフィラキシーが起こった場合、学校職員がその生徒に(ショック症状を和らげる注射薬)「エピペン」の自己注射を打っても、法律上も問題がないことが示されていますが、学校現場でもエピペンの知識や投与手順、使用法などについての講習会を頻回に開催するなどの対策が求められるでしょう。

米国では、エピペンを常備している州や学校が増えている現実が先日のNHK放送でも紹介されていました。

昭和63年にはソバが原因での死亡事故、昨年12月には東京都調布市の小学校で食物アレルギーのある児童が給食を食べた後に死亡したのをはじめ、この4月には荒川区の小学校でゴマアレルギーのある4年生男児が給食で誤ってゴマ油入りのジャージー麺を食べて痒みを訴えるという事故(病院で点滴などの処置を受け、幸にしてその日のうちに帰宅)、西宮市における牛乳アレルギー児童への牛乳入りスープの誤投与 などの報告もあり、給食で誤食し、アレルギー症状を起こすケースはこれまでにもたびたび発生しています。

これを受けて、文部科学省は今年度、その対策見直しに乗り出しています。

文科省は、給食を提供する全国の国公私立の小中学校や幼稚園など計4万校に対し、個別にアレルギー対策マニュアルの作成を求める方針を打ち出しました。(63日、読売夕刊)。報道によると、今年夏からすべての児童生徒を対象にアレルギーの実態調査 (2004年度以来9年ぶり) を行った上で、学校ごとにチェック体制や緊急時の「エピペン」の投与手順を確立してもらい、事故防止を徹底するとのことです。

誤食の原因の多くは、勘違いで食べてしまうケースや、表示ミス、表示義務のない外食における事故、家族をはじめ教職員の認識不足などで、給食に関しては、事情を把握し除去食や代替食を熟知している筈の担任の先生がたまたま休みの間に、代わりの先生が誤って給食を提供するケースなど、学校内での情報の共有が不十分な状況が少なくないようです。

食物アレルギーを持つ小中高生は全国に33万人(全児童生徒の2.6)、1学級に1人の割合で存在すると言われています。食物アレルギーを有する児童677人に1人の割合でアナフィラキシーの経験があるという驚くべき実態も報告されています。

食物アレルギーのある子どもには、自分には食物レルギーがあること、食べられない食べ物は何か、また誤食した場合はどうなるのかといったことを日頃から教育・啓発し、本人に知識と自覚を備えさせておく必要性があると考えられています。

データベース関連ソフトのeBASEは学校給食に含まれるアレルギー物質を一元管理するシステムを開発、アレルギー疾患のある児童が誤って食べないように工夫されているとのことです。(520日、日経)

惣菜などの中食や、ファストフードなど外食産業でも、譲報提供の徹底を図ることも、誤食を避ける上で肝要ではないかと思われます。

文部科学省の「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン(2008)では、「学校生活管理指導票(アレルギー疾患用)」の活用が勧められていますが、このガイドラインや管理指導票の存在自体が十分には認知されておらず、アレルギーへの対応に地域差、学校差が大きいことが問題になっています。

ガイドラインの精神を十分に理解した上で、管理指導票を参考に、もし事故が起こったらどうするか、家庭と学校、教育委員会、行政、さらには主治医との連携を進めておくことが肝要ではないかと考えられます。