ワチンギャップはなくなるのか

B型肝炎ワクチン 定期接種化への道

                                                  2013.9.10

  2013年4月からHib(ヘモフィルスインフルエンザ菌b)、肺炎球菌、子宮頸がん予防ワクチン(ヒトパピローマウイルス:HPV)が定期接種に組み込まれ、厚労省厚生科学審議会予防接種部会が定期接種化すべきと評価したワクチンは @水痘(みずほうそう)、AB型肝炎、Bおたふくかぜ、C高齢者用肺炎球菌の4種を残すだけとなりました。

 それでも、海外で普及しているのに日本では承認されていないために使えないワクチンも少なくなく、この「ワクチンギャップ」が問題になっています。

 このうちB型肝炎は、接種対象者や接種スケジュールに関する議論が残されているものの、ワクチン後進国の汚名払拭のためにも早期導入が望まれるところです。ネックは予算的裏づけがまだ十分ではないことでしょう。

 WHO(世界保健機構)は、本年6月、2010年のB型、C型のウイルス性肝炎による死者数がアジアを中心に世界で急増し、140万人以上になったと発表しました。さらに、B型、C型ウイルスの感染者は症状の出ていない人も含め世界で5億人以上にのぼるとみられており、死者は20年前に比して46%も増加しています。

わが国におけるB型肝炎ウイルスの感染者は全国で90万人と推計されて、その多く(約1/3)が子どもの頃の集団予防接種が原因とみられ、その数は最大28万人に上ることが厚労省の推計で明らかにされています(本年1月20日、日経)。

2004年1月、札幌高裁は、国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で「B型肝炎に感染したのは乳幼児期の集団予防接種が原因」として、原告の請求を棄却した札幌地裁の一審判決を破棄した上で、1650万円の賠償を国に命じたのです。

この判決の中で、裁判長は「国は、感染の恐れがあることを当然に予見できたが、感染を未然に防止する義務を怠った」と延べました。この訴訟を報道した2004年1月の各紙は、母子感染などが原因の持続感染者は国内に150万人近くいると述べています。

その後2006年に、最高裁が注射器使い回しを放置した国の責任を認める判決で結審し、これを受けて各地で訴訟が相次ぎ、2011年に国と原告団の和解基本合意、2012年の特別措置法施行につながることになるので。しかし、、医療機関のカルテが処分されているなど、因果関係の証明に難渋し長期化するケースが少なくないようです。

日本のウイルス性肝炎の年間死者数はB型が517人、C型が4737人で、B型ワクチン導入を初めとする肝炎対策を急ぐ必要があります。

 B型肝炎の感染ルートはこのような医療器具の使いまわしによるものだけではなく、針刺し事故、感染者の血液や体液との接触だけではなく、母子感染、父子・家庭内感染のほか、保育所などでの体液(尿、唾液、涙、汗など)を介する水平感染や性行為による感染など多様です。

 特に、乳幼児期の感染は慢性化しやすく、持続感染者の一部が慢性肝炎から肝硬変に、さらには肝がんに進むと考えられるだけに、ワクチンでこれらを阻止することが重要な課題となっているのです。