お風呂にはいってはいけないのかしら?

                                                                      2013.11.26

 「風邪をひいて熱が出た時に、お風呂にはいってはいけないのですか?」

多くの小児科医が答えに窮する質問の一つではないでしょうか。

37.5℃くらいまでの熱なら大丈夫と言われる先生が多いように思われますが、欧米では、38℃を超すような熱がある時でも水浴とか、スポンジングというアルコール浴を勧める医師もいるようです。ただ、全館暖房で室温管理の行き届いた住宅ならばそれも可能でしょうが、38℃近い熱がある場合、わが国のように脱衣室に暖房設備もないような風呂場での冬の入浴には慎重さが求められるでしょう。

筆者の記憶に間違いがなければ、20数年前にこの問題に対する研究班が厚生省で組織されたと思いますが、どういう結論になったのか記憶になく、正確で科学的なお答えはできません。この問題に関しては、是という先生も否と考える先生も明確な根拠を示すことができず、経験あるいは感覚的なものさしで答えられているのだと思います。

年間1万7000人。

これは高齢者が自宅などで入浴中に急死する「入浴関連死」の数です。(東京都健康長寿医療センターのまとめ ; 2013..4日毎日新聞、)

 入浴中の急死は冬場に多発し、以前は居眠りなどで溺れたからと見なされていました。しかし最近の見解によると、入浴関連死の多くは、浴室内の温度差による血圧の急激な変化に基づく脳卒中や心筋梗塞によるものだと推定されているのですが、実態はよく分かっていないというのが本当のところかと思われます。

冷え込んだ脱衣室や浴室では急に体温が奪われ血管が縮んで血圧が上昇、浴槽に入った直後も血圧が上がり続けた後に、浴槽につかった途端に血管が急に広がって血圧が下がる。こうした血圧の急変動が意識障害を引き起こして溺れたり、脳卒中を誘発したりするからではないかと考えられています。

 子供と脳卒中など関係ないのではないかと思われる人も少なくないでしょうが、急激な温度変化などの刺激が上記のような血管や血圧に及ぼす影響は子供とて同様、加えて、湯船につかった時に全身に加わる静水圧などの水圧は成人の場合500`にも及ぶと言われており、この現象によって体や血管に加わる圧力や交感神経に及ぼす影響も無視できないようです。

 このような現象が見られる以上、熱が高く体調が悪い時の入浴は慎重にした方がいいと言えるのではないでしょうか。

入るにしても、予めシャワーをしばらく流しっぱなしにしたり浴槽のふたを開けたりして温度差をなくすとともに、浴室と脱衣室の間のドアも開けておくような準備が必要なように思われます。