ノロウイルス 猛威

                                                                 2014..21

浜松市の集団食中毒事件は給食のパンが原因と判明。

食パンを製造した菓子製造業の工場、トイレの共用スリッパ、検品担当の従業員3人からノロウイルスが検出されたため、市保健所は17日、食パンによる食中毒と断定、業者は26都府県に納入された157種類8万8千個のパンの自主回収にのりだしたのです。

問題は便からノロウイルスが検出された3人の従業員に胃腸症状がなかったことです。ノロウイルスでは無症状の健康保菌者が結構多く、感染しても症状がでるのはおよそ半分くらいではないかと見られており、このような人を介して流行が拡がることは否定できません。

被害は17校、欠席児童は1060人に及んだものの児童の約7割は回復傾向にあり、閉鎖した小学校も21日から通常通り授業を再開する方針とのことです(20日各紙)。

報道番組はノロウイルス特集一色、俄かノロ学者が巷に溢れそうな感がありますが、患者の便1gに100億個のノロウイルスが含まれているとか、感染力が強く10数個のウイルスが体内に入るだけで感染が成立、アルコール消毒はほぼ無効であり、塩素系消毒薬を使用すべしとかいう解説は共通しているようです。

キッチンハイターなどの塩素系漂白剤を約500倍に希釈して消毒に使用することが奨められてはいるものの、衣服、布団、じゅうたんや塗装した木製玩具などにつくと脱色してしまうということや、独特の塩素臭があるという難点は解決できません。

冬季におけるノロウイルスの流行は何も今年に限ったことではなく、むしろ今季の流行性胃腸炎は例年より少なめで、2006年には、国立感染症研究所が定点調査をはじめた81年以来最悪のペースで増え続け、それはわが国に限らず、欧州でもドイツ、英国、スウェーデンなど広範囲で例年を上回る流行が報告されたのです。しかし、未だ大流行の原因は分かっていません。 

筆者の診療所では、「安定化 弱酸性次亜塩素酸水(商品名 プラス・シー)のスプレーや手指摺りこみ液を使用し、床の吐物汚染処理や感染性胃腸炎患者を診察するたびに全身スプレーを、病児保育所での床汚染には、蒸気クリーナーによる高温殺菌を試みるなどして二次感染の予防につとめているせいか、院内での感染はまず起こらないようです。

ノロウイルス感染の潜伏期間は2448時間で、36時間ごとにアウトブレイクが発生するという規則めいたものがあります。細胞培養による分離が難しいためワクチンの製造もできないことや、ウイルスは変異することがあり型によっては病状が遷延したり、数日で症状が取れても数週間も便中のウイルスが認められる例もあるなど、対応の難しい感染症の一つと言えます。

テレビでは余り触れられませんが、血液型(物質)によって感染や発病に差があることも知られており、現在流行中のBU4タイプは血液型非分泌の人(日本人の約16%)を除き血液型による感染差はあまり顕著ではないようです。