新型出生前検査の動向

                                                              2014.2.18

妊婦の血液検査を利用してダウン症など胎児の3種類の染色体異常を判別する新しい出生前診断が、昨年4月から始められました。4月1日に日本医学会が発表した実施施設は15病院でのスタートでしたが、新聞紙上などで紹介されることも多いのでご存知の方も少なくないでしょう。

対象は妊娠10週からで、費用は21万円ほどかかるようです。

開始に先立ち日本産科婦人科学会は診断の指針をまとめ、同学会や日本小児科学会などで組織された委員会を日本医学会に設置して、申請した医療機関が条件を満たしているかどうかの審査、認定をすることにしました。

開始から3ヶ月経った昨年7月、この診断の研究組織「NIPTコンソーシアム」によって全国22施設での1534件の調査が実施されました。

そのうちダウン症16件を含む29:(1.9%)が異常の可能性が高いと判定され、羊水検査などによって陽性と判断された11件の確定診断例のうち、少なくとも2人が人工妊娠中絶を受けたということです。妊婦の平均年齢は38.3歳で、受検理由は35歳以上の高齢妊娠」(94.1%)、超音波検査などで染色体異常の可能性が示唆された妊婦のほか、「染色体異常をもった子の出産歴あり」2.5%も含まれています。

大学をはじめ各医療機関では、医学倫理委員会などでの承認を経て実施に移されていますが、採取された20_gの血液を米企業に送り染色体異常の有無を確認するというものですが、羊水検査と比べて妊婦への負担も軽く、早期の検査が可能という利点があります。この出生前検査を受けて「陽性なら出産を諦める」という人が6%もあることが意識調査の結果で分かっています(岡山大、対象妊婦557人、2013年8月)。

しかし、この検査の精度は万全とはいい難く(ダウン症陽性とでた35歳以上妊婦で8095%。一方、陰性の場合の的中率は99%以上)、羊水検査などの結果を待たずに妊娠中絶を行うと生命の安易な選別につながりかねないという懸念が残ります。

妊婦の6〜8割が出生前診断を受けるという米国や、ほぼ全員が検査するといわれるフランスやイギリスはともかくとして、妊婦の年齢が高いから検査を受けるという前提が常態化してくることも予想され、異常が認められても出産を選択する人の社会的支援や受け皿づくりがなおざりにされたままの診断先行には多くの疑問が残ると言えそうです。