新型感染症の恐怖

マダニ感染症 SFTS

2014.7.1

マダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)は、昨年1月に成人女性の国内初の死亡例が、次いで2月には2人の成人男子死亡例が判明したのを皮切りに、感染者はすでに60人を超えたということです。

このうち24人が死亡しており、その殆どが50歳代以上であったそうです。

厚労省・厚生科学審議会感染症部会は昨年2月、SFTSの患者を診断したすべての医師に感染症法に基づく国への報告を義務付ける方針を決めたそうです。

テレビで死亡例の映像を見かけたりしますが、この病気は2009年頃から中国で発生が確認され、2011年に中国の研究者によって原因ウイルスが特定された新しい感染症で(致死率約10%)、発熱、頭痛、下痢・吐き気などの症状を伴い、血小板の減少を伴い、中には下血するなど重症例、死亡例もみられます。

わが国では近畿、中国、四国、九州地方などでの報告例が多く、なぜ西日本に多いかは分かっていませんが、海外渡航者での発生例は確認されておらず、国内での受傷例がほとんどのようです。

マダニに咬まれた後、6日〜2週間ほどの潜伏期を経て発病に至ります。マダニは家ダニとは異なり、咬まれた痕が残らないことも多く、咬まれたことに気づかないこともあるだけに注意が必要です。

マダニは春から秋にかけて活動が活発になりますが、事実、昨年は5月の報告例が最も多かったそうです。森林や草むらなどでシカやイノシシなどの野生動物によって運ばれたダニに咬まれて感染することもあるようですが、中国では、患者の血液や体液、排泄物との接触で感染した例も報告されています。

夏休みになって虫取りや野山に行く機会も多いだけに、ダニに咬まれないようにする注意がまず必要でしょう。

ツツガムシ病や日本紅斑熱などダニ媒介の感染症は有効な抗菌薬があるのですが、SFTSには有効な治療薬もワクチンもないので厄介です。SFTSの病原体を持ったダニは全体の1%にも満たず、咬まれても必ずしも感染するわけではないのが救いです。

対症療法しかないので咬まれないようにすることが一番ですが、草むらや森にはできるだけ近寄らないことと、やむを得ず野外活動に臨む場合は、長そで、長ズボンを着用し、帰宅したら咬み跡がないかどうか確認することが大切でしょう。