最も恐ろしい生物は ?

 

2014.7.8 

  7月4日付の日経新聞に「最も恐ろしい生物は蚊」という意外にして興味深いコラムが載っています。

 年間72万人の人が「蚊」がもたらす感染症などで命を落としているというビルゲイツ氏らの分析を紹介しています。

「人間は様々な生物の影響で死んでいる」という標題のグラフによると、蚊に続き第2位が「人間」(およそ48万人?)、第3位が「ヘビ」、4位がイヌ(狂犬病)、5位は「ツェツェバエ」の順となっていますが、第13位の「サメ」にいたっては、咬まれて死ぬ人が年に10人ほどで意外な感じもします。

 この分析はWHOや国際連合食糧農業機関などのデータに基づいてなされたものですが、蚊が媒介する「マラリア」が死の主因で、アフリカでは子供が1分間に1人の割で死んでいるというWHOのデータも紹介されています。

 マラリアは、エイズ、結核とともに世界3大感染症と言われ、全世界では熱帯、亜熱帯を中心に年間1億人以上が発症、100万人以上が死亡する(一説によると年間3〜5億人の罹患者と150270万人の死亡)とされます。蚊による死亡72万人というのはやや少な目に感じるのですが、データの取り方次第で違った結果になるのでしょう。

日本でのマラリア感染者は年間100人程度とみられていますが、その多くは流行地であるアフリカ、東南アジアなどで感染して帰国後に発症する例です。このようにわが国のマラリアは旅行者によって持ち込まれるものがほとんどで、数十年前までは流行をみた「土着マラリア」は今では見られません。

マラリア以外の蚊が媒介する感染症としては、「ヒトスジシマカ」が媒介する「デング熱」や「チクングニヤ熱」「アカイエカ」が媒介するアフリカ北部の風土病で1999年に米国に上陸し2002年に爆発的に感染が拡大した「ウエストナイル熱」など油断のならない感染症は少なくないのです。 

マラリアは最重症の「熱帯熱マラリア」を筆頭に、三日熱、四日熱、卵形マラリア原虫が病原となり、「ハマダラカ」に刺されることによって感染します。

このまま温暖化が進行したとすると、蚊の繁殖に適した環境と蚊の生息域か広がるとともにウイルスや細菌の増殖も盛んになって、人間や野生動物の感染症も増加する懸念が強くなります。

IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)21世紀末の地球の平均気温が20世紀末比で最大6.4℃上がると予測していますが、気象庁が17年に発表した「地球温暖化予測情報」によれば、2100年ごろの日本は全国的に気温が上昇して平均気温が2〜3度高くなり、100年後の大阪は奄美大島並みに、東京は鹿児島並みの気候になるそうです。

温暖化だけではなく大雨が降る機会も多くなって、全国各地で年間降水量が最大20%増えると考えられています。熱帯病が身近なものとなる日もそう遠くないのかもしれません。