MERS 襲来 ?

韓国 MERS感染拡大

2015.6.9 

 韓国では、MERS (中東呼吸器症候群)コロナウイルス感染者が続出しており、判断や広報などの初期対応の甘さもあって感染は拡大、朝鮮日報は「国家次元の非常事態だ」などと批判して当局の対応を非難、懸念が広がっています。

 韓国保健福祉省の発表によれば、感染者は死者6人を含む87で隔離対象者は2300人超、このうち新たに確認された14人は病院での三次感染者ということです(6月8日現在)

感染の拡大を懸念して1800校以上の幼稚園・学校が休校・休園措置を取り、7日には、さらなる感染拡大を防ぐために、それまで秘匿されていた感染者が訪れた全国24ヵ所の病院名と患者数が公表されました。

感染の発端は中東に滞在していた韓国人男性が帰国後に発症、この男性の家族や、入院先の医療機関スタッフなどの濃厚接触者を通じて感染が拡大したものと考えられています。一部の報道では、最初の患者が入院して多数の二次感染者が続出した病院のエアコンフィルターからウイルスが検出され、エアコンを介して他の病室に広がった可能性も疑われているようです。

 中国でも、5月26日に香港経由で広東省に入った韓国人男性がMERSに感染していることが確認され、「新非典(新型SARS)襲来」などと報道する地元メディアも現れて警戒が強められているようです。 

地理的に韓国に近く往来者も多いわが国ではまだ感染者は発生しておらず、「一気に不特定多数に広がるウイルスではなかろう」とする厚労省は、過度の危惧は不要としつつも、早急な届け出が必要な「2類感染症」に指定して対策を強化しました。一部の日本企業は関係地域への出張を自粛するなど対応に乗り出しています。

SARS(重症急性呼吸器症候群) が流行した2002年から2003年には、台湾やシンガポールなども含め計775人の死者が出たという前歴もあるだけに、警戒心が高まるのも無理からぬことでしょう。

 MERS (Middle East Respiratory Syndrome: 中東呼吸器症候群)2012年に初めて報告された新型感染症で、発熱、咳、息切れなどを主徴とし、腎不全を起こして重症化することもあり、主に中東で流行が拡大したことから「中東呼吸器症候群」と呼ばれています。

WHO(世界保健機関)の調査では20ヶ国以上で1154人の患者、431人の死者が出ている処から致死率は約4割と判断していますが、軽症で終わっているケースもあるのではないかともみられています。

MERSの原因はコロナウイルスで、「ヒトコブラクダ」が感染源の一つとして有力視され、ラクダの未殺菌乳や生肉を食することで感染するのではと疑われていますが、空気感染やヒトーヒト感染の存在については意見が分かれているようです。

 潜伏期は2〜14日間。潜伏期間中に防疫をすり抜けての入国が考えられることが、防疫における「水際対策」を困難なものにしています。

 WHOは5月8日、ヒトの新たな感染症の名称を定める上で参考にすべき指針を、研究者や各国保健当局、報道機関に向けて公表しました。

疾患名には特定の地域や国名、動物の名称などを冠するべきではなく、特定の国や民族などの印象を損なわないよう配慮すべきとしており、具体的には、MERS (中東呼吸器症候群)や「日本脳炎」、「鳥インフルエンザ」などが例示されています。