食の安全は守られるのでしょうか?

2015.7.28

 食の安全に対する関心が今ほど高まったことはないでしょうが、食品の安全やがんの原因に関しては、消費者と食安全の専門家の認識にギャップがあるという記事が18日の毎日新聞に載っています。

内閣府・食品安全委員会の「食品にかかわるリスク認識アンケート調査」によると、食品安全に関して消費者は「病原性微生物」、「残留農薬」や「食品添加物」を気にする傾向が強いのに対し、専門家は「たばこ」、「偏食や過食」、「レルギー」、「健康食品」などを重視するという結果だったそうです。

このような認識の違いについて、専門家は「がんなど特定の集団の中で生じている死亡率などの数字を客観的なデータで判断する傾向がある」のに対して、消費者は「人工的に合成された化学物質を危ないと考え、天然自然に発生するものは安全と考える傾向があり、個人的な関心事を基に健康への影響を判断している」からもたらされたのではないかという識者の意見が紹介されています。さらに、「一部メディアのセンセーショナルなニュースが消費者の主観的なリスク認識に影響を与えているのではないか」とする研究者の指摘も記事にされています。

確かにメディアによる問題の取り上げ方にも一考を要する部分は無きにしもあらずでしょうが、当事者が核心部分を隠ぺいし、透明性に課題を残すことが少なくないことは福島原発事故を巡る一連の報道や経緯を見ても分かることで、国民が不信感や不安を抱く心理を一笑することは妥当とは言えないでしょう。

例えば、日本でも多用されている除草剤「ラウンドアップ」の主成分「グリホサート」について、発がんの恐れがあり、農業従事者の体内のほか、大気や食品からも検出されているとの研究報告書をWHO(世界保健機構)の専門組織「IARC(国際がん研究機関)」が今年3月に公表した事実があります。これに対して製造元の米農業バイオ・モンサント社は安全を主張して反発していますが、このように白黒については今のところ分からないという事例は決して少なくなく、消費者は不安を抱えたまま過ごさざるを得ないというのが現実でしょう。

農水省は、2016年をメドに、現行制度の審査体制などを大幅に強化するなど、農産物の安全性を保証する新しい認証制度を制定し、食品安全の国際組織(世界食品安全イニシアチブ:GFSI)の承認を目指すことにしました。

(本年4月28日の本欄「『食』への関心高まり?」 参照)