メリット制  是か非か?

2015.9.29 

 

 健康増進のために努力した人には、保険料を減額するなどの恩典を与える「メリット制」への機運が高くなりつつあるように思われます。

 喫煙によって毎年500万人が死亡し、わが国では1年間に男性で約8万人、女性で約8千人が喫煙による「がん」を発症するというように、タバコがガンの原因のトップになっているのです。

 本人の喫煙だけではなく、家庭内で約10%、飲食店では約半数の人が受動喫煙にさらされていると言われるほどに日本は受動喫煙に寛容な国と云えます。喫煙がなくなれば日本人のガン患者の約20%が減る計算になるそうですから、禁煙が何よりのガン予防法であり、喫煙する人と吸わない人が払う健康保険料に差がないこと自体が不合理とも言えます。

このような喫煙の是非にとどまらず、子供の時でも受けるべき予防注射はしっかりと接種し、乳幼児健診や大きくなってからも学校検診や職場検診を定期的に受けて健康に留意する人とそうでない人は、自分の健康の問題だけに留まらず、日本の総医療費への貢献度におのずと差が生じることになるのは説明するまでもないでしょう。

高齢者の増加や医療技術の高度化などの要因で、年1兆円前後の規模で膨らみ続ける社会保障費の「自然増」2020年までの5年間で2.5兆円程度に抑えるべしというのが財務省の基本姿勢で、そのために歳出のムダを減らす「歳出効率化」が至上命令となっています。

政府は来年度から、健康増進のために努力すると商品券などと交換可能なポイントがたまる「ヘルスケアポイント」制度の本格的導入を検討していると言われています(2015年1月23日、産経)。運動量や体重の変化を継続して記録したり、定期健康診断を受診したりするとポイントがたまる仕組みで、生活習慣病の予防や医療費の抑制に寄与することになります。

民間でも、健診を受けない社員の賞与を減らす仕組みや、会社ぐるみで筋力トレーニングを推奨するヘルスケアセンターを設けるなど、治療から予防へと医療の重点を移すという発想の会社も次々と現れているようです。

ただ健康作りに無関心な層は国民の7割を占め、関心がある層に比べて医療費は3割も高くなるそうで、これが高いハードルになりかねないでしょう(久野筑波大教授、2015..18日経)。