結核 世界で猛威 !

備えは大丈夫ですか?

                                                                   2016.6.17

 最近「結核」に関する報道を目にする機会が増えたように思われます。

結核は患者の咳や痰、くしゃみなどから「空気感染」しますが、WHO2014年に新たな結核にかかった人は世界で約960万人と推定、全感染症の年間新規患者数の37%相当するといいますから、その深刻さが解かろうというものです。

世界人口の3分の1が結核に感染しており、0−14歳児童では50万人が感染しているとも言われています。死者も150万人で、治療薬の進歩などで死者が激減している「エイズ」を上回り、全ての感染症の中で最も多くなっています(ちなみにエイズ(HIV)の死者はピークの2004年比42%減の推計120万人)。

日本では、かつての「国民病」結核が1947年の死亡原因の1位でしたが、今でも毎年約2万人の新規患者が発生、年2千人以上が死亡しており、決して「過去の病気」とはいえない状況にあります(/24、産経)

結核予防法の整備、集団健診の制度化、BCG予防接種の義務づけや治療薬の進歩などで死亡率は45年をピークにして急減しているものの(人口10万人当たり15.4)、国際的には中程度のまん延国で、保菌者の7割以上を高齢者、60歳以上の世代が占めています。

更には罹患率の地域差が依然大きく大都市で高く、外国籍結核患者の割合が高いこと、職場における集団感染例や受診の遅れがしばしば報告されています。

インドや中国、ロシアなどで「多剤耐性結核」が拡大していることも問題になっており、その数48万人にのぼると推定されています。

一方、小児結核の罹患率は世界で最も低い国といわれるほど順調に減少しているものの、感染機会の多さは予断を許さず、一旦発病すると早期に重症化しやすい特徴があるため、接触者健診など十分な対策が必要となるでしょう。

結核の予防策としてはBCG接種があるとはいえ、接種者でも5〜10%は発症する可能性を残し、わが国でもその存続は議論の対象となっています。選択的接種へ移行するとすればその対象をどう決めるか、乳幼児結核症例の推移などをきめ細かく見守る必要があるのではないかと考えられています。

2005年に「結核予防法」が改定され、それまではまずツベルクリン反応検査(ツ反)陰性の者のみBCG接種を受ける方式を採用していたものが、ツ反を行わずに全員に接種する形に変更になりました(Universal Vaccination)

BCG接種を受けると、ツ反が陽性化してしまい結核の診断が紛らわしくなるというデメリットもあるため、アメリカやフランスなどではBCG接種は行われていません。

中には接種中止により小児結核が増加した国もあるようで、これらの国における患者数の動向は選択的接種採用の是非を決める際の参考になるものと思われます。