日本脳炎ワクチン 早期接種を

2016.6.21

 日本脳炎 (以下「日脳」と略)の標準的な予防接種は生後3歳からということになっていますが、生後6ヵ月から接種すべきという千葉県小児科医会の取り組みが19日のNHKニュースで紹介されて、早期接種の希望者が増えています。

 ブタの体内で増えたウイルスが蚊(コガタアカイエカ)によって媒介されヒトに感染(ブタ→蚊→ヒト)しますが、脳炎を発症するのは感染者10005000人のうち1人くらいで、脳炎にかかると約25%が死亡、約50%が神経の後遺症を残します。

 千葉県で早期接種の流れが加速している背景には、昨年同県で11ヵ月乳児の日脳患者が出たことや、ブタの日脳ウイルス感染状況調査(感染研)で千葉県は感染リスクが高いなど、親の不安感が高まっているという事情があります。

ブタの日脳ウイルス保有率が80%以上の都道府県は、千葉県以外でも茨城県、神奈川県、福岡県など11県以上に、未調査の県も11にのぼり、日本小児科学会なども、感染リスクの高い地域では早期の接種が望ましいと勧奨しています。

国立感染症研究所の統計では、日脳に罹った3歳未満の乳幼児は過去7年間で3人あり、決して無視できる感染症ではないと警告しています。

 日脳の予防接種については、トラブルに見舞われるという前科があります。

旧ワクチンが使用されていた19972000年に死亡例4例のほか、中枢神経に炎症が起きるADEM(急性散在性脊髄炎)の重篤例が報告されたため、0509年度には「積極的な勧奨」が差し控えられ、マウス脳由来の旧ワクチンに代わり組織培養型の新ワクチンが開発された10年に再開されたという経緯があります。

2012年の7月には接種を受けた9歳未満の子供が急性脳症を起こして1週間後に、同年1017日には、日脳の予防接種を受けた岐阜県の10歳児が急死するという、新ワクチンでは初めての事件がありました。後者の事例については当初、専門家らは「アナフィラキシーショック」の可能性を示唆したのですが、厚労省予防接種部会の専門家委員会では、「接種の影響を完全には否定できない」としつつも、「2件ともワクチンが原因になった可能性は低い」とする判断を下しています。

「ジェービックV」、「エンセバック」という2種類の日脳ワクチンで計1000万回以上も注射されている同ワクチンでも初めての事例だけに、因果関係の是非については関心の集まるところです。

ワクチンが原因となった可能性は低いとしても、ADEMはワクチンの種類にかかわらず、50--100万回の接種に1例の頻度で起こりうるという説もあり、この頻度をどう見るかは人により受け取りようが違うのはやむを得ない事でしょう。