指しゃぶりをする子はアレルギーになりにくい?

2016.7.26

  わが子がいつまでも指しゃぶりをしていると、心配で仕方がないというお母さんも少なくないでしょう。

 「未就学期を過ぎても指しゃぶりや爪かみをしている小児は、青年期にアレルギー反応を起こしにくい」とするニュージーランドのオタゴ大学のR.Hancox先生の説を聞くと、思わずえっと言ってしまいそうになります。

 ハンコック先生の説によると、幼少期に細菌などの微生物に接する機会が多くなるほど免疫系が感染と戦う態勢を強めるため、アレルギー反応が起きにくくなるというのです。

 青ッパナをたらす子を余り見かけなくなった頃からアレルギーをもった子供が増えてきた事実、あるいは、農村生まれの子は都会育ちの子に比べてアレルギー疾患が少ないという疫学的な見解があります。

これは「衛生仮説」と呼ばれてきた現象で、わが国の児童の生活や環境が昔に比べて衛生的になってきてからアレルギーが増えたとか、逆に、農村では幅広いばい菌に暴露されているためにアレルギーを起こしにくいという説です。

 

体の免疫をつかさどっているリンパ球にはT細胞とB細胞があり、T細胞の一つヘルパーT細胞はさらにTh1細胞」Th2細胞」に分けられます。このTh1Th2の免疫系の拮抗したバランスで、Th1は細菌などの感染を抑制し、Th2はアレルギーを起こしやすくする系と考えられています。感染機会の多かった昔は、Th1系が刺激されてTh1優勢となるためアレルギー疾患は少なかったという事実や、乳児期に抗生物質の投与を受ければ受ける程その後に喘息などのアレルギー疾患を発症しやすいという報告もこれを裏付けています。

 

指しゃぶりへの対応は様々、小児科医と小児歯科医では見解が違うようです。

 赤ちゃんは胎児期(胎生24週頃から)には既に指しゃぶりをしていることが分かっており、生後に握りしめた手や指を吸うのは「吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)に基づく生理的な動作と考えられています。

「母乳が足りないからとか、愛情不足」が原因と言われた時期もありましたが、指しゃぶりは成長過程の生理的なものに過ぎず、5歳を過ぎても止めない場合を除いては神経質になる必要はないようです。

 指しゃぶりを続けていると、上の前歯が前方に出る(上顎前突)、前歯の間にすき間があく(開口)、あるいは咬合異常(交叉咬合)などを起こしやすくなるので適当な対応が必要とする小児歯科医も少なくなく、歯列に乱れが出てきた時は歯科医に相談する必要があるかも知れません。