東京五輪の抱える難題

受動喫煙対策 国が罰則検討

2016.11.8

予算や施設問題など各競技会場の最終案の決着が得られず、先行き不透明な東京五輪ですが、もう一つの難題は世界常識ともなっている「罰則付き禁煙」などの受動喫煙防止対策の遅れでしょう。

 IOC (国際オリンピック委員会) WHO (世界保健機関)は、開催都市に「たばこのない五輪」を求めており、わが国の受動喫煙対策は、今年8月に公表された「たばこ白書」でも「世界最低レベル」との宣告でした。

職場の受動喫煙防止対策が事業主の努力義務となって一年が経過しました。いかに対策を進めて国際レベルに近づけられるかが課題となっています。

 日本の現状では、「健康増進法」に基づいて「多くの人が集まる公共の場での受動喫煙防止」は「努力義務」にとどまっている緩い内容なのです。

 厚労省が10月にまとめた対策案では、スタジアムなど「多数の人が利用する」施設や官公庁、社会福祉施設などでは「建物内禁煙」を、特に未成年者や患者らが主に利用する施設では、受動喫煙による健康影響を防ぐ必要性が高いため、より厳しい「敷地内全面禁煙」が提案されています。サービス業では、副流煙防止のため「喫煙席は認めず」、「喫煙室」の設置が認められている程度です。

 これまでの対策との大きな違いは、「違反者に対して勧告や命令などを行い」、それでも従わない場合は「罰則の適用」が導入される点です(以上1015日、産経)

 たばこ販売業者や飲食店関係者らの間には強制力を伴う措置には抵抗感が強いだけに、どう折り合いをつけて行くかお手並み拝見という処でしょうか。

 WHOによると、世界で毎年約600万人がたばのために亡くなっており、うち60万人余りは非喫煙者の受動喫煙が原因とされています。

 日本は「たばこ規制枠組み条約(FCTC)」を批准し対策を進めていますが、他の締約国に比べて不十分な状況で、喫煙率は20%前後と横ばい、喫煙者はタバコの害の情報に疎く、禁煙に取り組む意識も低いことが厚労省研究班の調査でも明らかになっています。

 たばこを吸う本数が多く、長く吸う人ほど遺伝子に突然変異が起きており、一日1箱(20)を1年間吸い続けると肺の細胞では遺伝子に150個の変異が生じるとの研究結果を、国立がん研究センターなどの日英米韓国際チームが発表したと11月4日付の各紙が報じています。

 遺伝子の変異は、がん発症の危険性を高めるとされ、変異の数は肺が最も多く、喉頭、口腔、膀胱、肝臓、腎臓の順に多かったそうです。