飼い犬とアトピーのリスク

室内犬に触れる機会が増えると、アトピー性皮膚炎のリスクが減少?

2017.4.18

  

  イヌやネコなどペットの皮屑(フケ)はアレルギーの原因物質(アレルゲン)となることがあります。特定の動物に近づくと咳や発疹などの症状が出る場合や、そのペットのアレルギー検査が陽性で感作されていることが明らかな場合には、その動物には近寄らず、飼わないようにする配慮も求められます。

 ネコを飼う家庭がイヌ派を追い抜いたという話がトピックスになるほどのペットブームですが、喘息児や喘息発症が予想される家庭ではペットを飼わないようにするというのがいわば原則となっていました。

 ところがこの10年ほど前から、出生時や出生後1年ほどの期間にペットを飼っている家庭の子供は、飼っていない家庭の子供と比べてアトピー性皮膚炎や喘息になりにくいというデータが、欧米の研究を中心に報告されるようになって来たのです。抗原回避こそ最大の予防という常識に逆らうようなこの意見は、ペットを飼うことにアレルギー発症予防効果があるかのごとき印象を与えます。

デンマークのコペンハーゲン大学の研究によれば、新生児期に室内犬に曝される機会が多いとアトピー性皮膚炎のリスクが低くなり、しかも飼育犬数に比例して効果が高まる傾向があるという首をかしげたくなるような結果が示されています。

胎児のときのアレルゲン暴露量に左右されるのではないかと推定されますが、何故そうなるかという機序までは解かっていないようです。この傾向は、母親のアトピー性疾患が明白な場合に顕著で、その傾向のない母親から生まれた児には見られなかったという事実も分かっています。

 一般の住環境では、コナヒョウヒダニやカビ類、チャタテムシなどのアレルゲンに暴露されながら生活しているわけですが、コンクリート住宅では木造に比べて気密性が高く、これらの汚染物質が長時間滞留しやすい傾向があります。

 空中の浮遊アレルゲンに感作されている幼児のうち、家庭でイヌを飼育している場合には脱感作(感作状態が薄れていく現象)が加速される傾向があることも判明しています(2004年、米・ミシガン州立ウェイン大学)

家庭内からイヌを追放しても幼児のアレルゲン感作には影響しないと考えられますが、だからと言って、イヌに近寄るとアレルギー症状を呈するような幼児の家庭でもイヌを飼った方がよいということにはならないのは当然でしょう。