乳児ボツリヌス症の恐怖

ハチミツ原因 6ヵ月男児死亡

2017.4.25

 ハチミツを摂取していた足立区の6ヵ月男児が「乳児ボツリヌス症」で死亡したと、東京都が7日に発表しました(48日、各紙)

 乳児ボツリヌス症自体は比較的稀な病気ですが、都によると、統計がある昭和61年以降全国で36例、死亡例は今回が初めてとのことです。

 患児は、1月中旬頃からジュースに市販のハチミツを混ぜて毎日飲んでいた

(1日2回、計約10cか)ところ、220日にけいれんや呼吸不全などの症状を来して救急搬送され入院、330日に死亡したと報告されています。男児の便や使用したハチミツから同型のボツリヌス菌が検出され、同症と確定されました。

 乳児ボツリヌス症は1986年に千葉県で初発例が報告され、厚生省は翌871歳未満の乳児にハチミツを与えてはいけない」と都道府県に通知し注意喚起、同様の注意は母子手帳にも記載されています。家族が用いていたハチミツのラベルにも同様の注意書きが記されていたにもかかわらず、この家族はその警告を知らなかったようです。ハチミツによる乳児ボツリヌス症については『表示義務』はないため、徹底されていないといいます。

 食物アレルギーの原因となりうる卵や小麦などの「特定原材料」が加工食品に含まれている場合は表示義務があり(容器・包装の面積が30平方aを超える場合)、例えその食品に含まれていない時でも、別の製品の製造過程でこれらが使用されている場合にはそれと分る注意書きが記されているのが一般的になってきています。このことを知っているお母さんが殆どですが、見落としということもありうるので、今回のような事故を避けるためには警告マークをもっと目立つように表記する必要がありそうです。

ボツリヌス菌が作り出すボツリヌス毒素は、自然界に存在する毒素としては最も強力で、青酸カリの200万倍以上の致死量と言われています。乳児ボツリヌス症は、この毒素を含んだ食品を口にして発症する一般的なボツリヌス食中毒とは異なり、ボツリヌス菌の「芽胞」を摂取することにより発症します。

ボツリヌス毒素自体は100℃1〜2分間の加熱により不活化しますが、芽胞は高温に耐えて120℃4分間の加熱で初めて不活化するので、ハチミツに芽胞が含まれているとしたら毒力はそのままということになります。

腸に入ったボツリヌス菌は正常の腸細菌叢、特に大腸菌によって抑制され毒性を発揮できない状態になりますが、大腸菌叢の発育が未熟な1歳以下の乳児では芽胞から発芽したボツリヌス菌が増えて毒素が産生されて中毒に至るという構造になります。

これが乳児ボツリヌス症ですが、発症すると便秘、筋力の低下(弛緩性マヒ)、複視、呼吸困難などを来し、時に呼吸筋マヒから死に至ることになりかねないというのです。