えっ! 食中毒? アニサキス食中毒 急増

2017.5.16

  魚介類につく寄生虫の一種「アニサキス」による食中毒がテレビや新聞の話題になっています。 タレントの渡辺直美さんや山里亮太、庄司智春氏など芸能人が発症したこともあって、マスコミで取り上げられる機会が多いようです。

 アニサキスは、サバをはじめイワシ、アジ、イカなど160種類以上の魚介類につく寄生虫で、大きさは2〜3a、幅0.5〜1_ほどの白い糸のような形状をしていますが、魚に着いた虫体は目で見てわかります。主に魚の内臓に巣くっているのですが、魚が死ぬと内臓から筋肉の方に移動します。

 アニサキスの最終宿主はイルカやクジラなどの歯鯨類で、これらの回遊する日本近海の広範囲の海域が、その排泄物に含まれるアニサキスの虫卵で汚染されることになります。

卵からかえった幼虫をオキアミ類が捕食し、これを最も好む魚類が餌として取り込むという算段です。従って、普段から口にする魚介類にアニサキスがいるのはごく普通、むしろ自然な状態ともいえるのです。

アニサキス食中毒はこの10年間で20(厚労省調査:2007年6件→2016124)に急増していますが、別の調査では年間7000件という報告も見られます。

2013年の食品衛生法改正で、「アニサキスによる食中毒を確認すれば保健所に届け出が必要」になって、実態把握に寄与していると思われます。

また、魚の冷蔵や移送手段が改善され、遠隔地の魚が新鮮な状態で大都市や消費地に運ばれるようになったことも、魚(例えばサンマなど)を生のまま食べる機会が増えることにつながっているのでしょう。さらに、しめサバなどは丸1日以上冷凍してから食すというのが昔の人の知恵であったようですが、このような伝習が失われてきたのも、この食中毒が増えている背景にあるようです。

 アニサキスが付着したサバなどを食べて、それが生きたまま人間の胃まで届くと、喫食後4〜12時間に「周期性のしぼり上げるような激しい腹痛(心窩部痛:みぞおち)」や吐き気を引き起こします。かゆみを伴う

全く無症状の人もあることや、一部の人には、かゆみを伴うじんま疹のような発疹が出現することもあることから、胃壁に迷入する虫が発する痛みかどうか疑問視する(アレルギー?)見方もあります。

魚を60℃で加熱するか、−20℃以下で24時間以上も冷凍することでアニサキスは死滅しますが、酢漬け、塩漬け、ワサビに効果はなく、何回もよく噛んで食べることが予防につながります。

厚労省では、@新鮮な魚を選び、速やかに内蔵を取り除く、A内臓を生で食べない、B目視でよく確認し、見つけたらピンセットなどで取り除くなどの注意点を挙げており、イカは糸作りにするか飾り包丁で虫体を切断するのが一番と言えましょう。

激しい腹痛も1〜3日で軽くなるため、診察を受けない人も少なくないようですが、独特の激痛でアニサキス症が疑われる場合には、病院で内視鏡検査を受け、鉗子で摘出してもらえば約10分〜数時間で痛みは消失するそうです。