ワクチン不足に想う

2017.11.24

 

インフルエンザワクチン不足は深刻で、入荷が例年の半分、あるいは入荷のメドが立たないために接種予約を中止するなど、流行を前に頭を悩ませている医療機関が少なくないようです。

 ワクチン供給量は昨年比2〜4割減という医療機関が多く、新規供給は12月中〜下旬にずれ込む見通しです。不安を煽る世相も手伝ってか予約が殺到し、品薄感が加速しかねない事態になっています。

 ワクチン不足の現状は1024日の本欄でもお伝えしましたが、来月中には安定供給できる予定という厚労省の甘い見通しをあざ笑うかのような混乱が生じています。ワクチン製造には孵化鶏卵が必要で、不足気味だからといって急に生産を増やすというわけにもいかず、ワクチン不足のまま今季は過ぎていくようです。

 幸いにして、インフルエンザ流行期入りの目安となる「1定点あたり1人/週」にはまだ届いていない流行レベルですが、12月の声を聞いて流行に火が付けば、混乱はさらにひどくなるものと予想されます。

 昨年夏には青天の霹靂まがいの麻疹の流行で麻しんワクチン不足が、今年5月には、千葉県での生後11ヵ月乳児の日本脳炎発生を機に、日脳ワクチン不足が社会問題となりました。ワクチンは足りている筈、地域間での偏在や特定の医療機関の買い占めによるものだとする厚労省の言い分に首を傾げる医療機関が多かったのも事実です。

 日脳は定期接種の対象疾患なので、この種のワクチンが足りなくなるというのは論外と言わざるをえません。熊本の日脳ワクチンメーカーが昨年4月の熊本地震で被災し、2カ月ほど稼働が止まるアクシデントがあったという同情できる事情もあるにはあったのですが。

 「安定供給」とは一体どういう状態を指すのでしょうか?

一般の商品とは違って売り切れゴメンとは行かないわけですから、ワクチンの類は需要予測量の1.21.5倍を備蓄して備えないことには、過不足なく普遍的に供給される状態にはならないのではないでしょうか?

 ないものは打てませんでは国民の不安をあおるだけの結果に終わり、無策の極み、予防接種行政とは名ばかりの施策にすぎなくなるのでは?