ミドリガメから 重症のサルモネラ菌感染


ミドリガメ とかイグアナなど、ペットの両生類や爬虫類などが、人の腸炎を起こすサルモネラ菌をもっているという事実は、最近ではよく知られるようになってきています。

わが国の家庭でも広く飼育されているだけに、ペットや飼育箱、水槽の水などに触れて、サルモネラ菌に感染する機会も少なくないようです。

昨年3月と10月に、千葉県内の1歳3ヶ月と6歳2ヶ月の女児がサルモネラ菌による重症感染症を起こしていたことが報告されました。

これを受けて、文部科学省は飼育に当たる児童・生徒に注意を喚起するよう、都道府県教育委員会などに緊急の指示を出したという報道が、3月9日の各紙にのっています。

サルモネラ菌には約2,500の菌型があり、自然界に広く分布していて、ニワトリ、牛、豚、犬、猫などに広く感染を起こします。

また食中毒の原因菌としても良く知られており、ネズミチフス菌(Salmonella Typhimurium)とか、腸炎菌(Salmonella Enteritidis:SE)がその代表的な菌種です。

このSEは、ニワトリの腸管にも常在しており、卵の殻や卵黄からも検出されることがあります。

卵を加熱した場合はともかく、生卵や加熱が不十分な食材を通じて食中毒を起こすことが少なくないようです。

サルモネラ菌は92年に食中毒の原因のトップとなり、以後、いつもベスト3に入っています。

腸炎を起こすのに必要な菌量は、一般的には105〜109個とされていますが、数個で発症するという報告もあり、FDAのHACCPマニュアルでは、発症菌量を15〜20個/ヒトとしているようです。

菌を「つけて汚染しない」、「増やさない」、「殺す」の食中毒予防の三原則を忘れないでください。

感染を受けた場合、通常6〜72時間、平均で15時間くらいの潜伏期を経て発症し、激しい腹痛や頻回の水様下痢便、頭痛、時に38〜40℃の発熱を伴うことがあります。時に今回報告された例のように、髄膜炎敗血症を引き起こすこともあるようです。

ただ、サルモネラ菌は熱に弱いので、60℃、10〜20分の加熱により死滅すると考えられており、日常的には、食品の中心温度が75℃になるように1分以上加熱すれば十分であるとされています。

厚生省(現、厚労省)は、97年に卵の賞味期限義務化の方針を打ち出し、これを受けて翌年、全農など鶏卵関連10団体は7月から家庭用のパック卵の賞味期限表示を行ってきました。

ガイドラインでは、夏・春秋・冬の三期に分け、夏(7−9月)は17日以内、春秋(4−6月・10−11月)は27日以内、冬(12−3月)は61日以内を期限にし、購入後は冷蔵庫(10℃以下)に保管することに決められています。

期限を超過したものは必ず加熱調理して使うようにも表示されています。

6、7年くらい前から、卵のパックには「サルモネラ菌対策済み」とか、「サルモネラ菌に強い卵」などの表示が目につくようになってきました。

英米やドイツでは、鶏卵へのサルモネラ菌汚染を防ぐために「ニワトリへのワクチン接種」が法律で義務づけされています。

わが国でも各地でワクチン接種が進められてきましたが、100%の効果は必ずしも期待はできないようです。

ワクチン接種と同時に、鶏舎や餌の衛生管理の徹底、卵、糞のチェックなどを並行して行うことが大切で、これらによって、卵がサルモネラ菌に汚染される率は1万個に数個の割りと少なくなることが証明されています。


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