子どもの肥満

成人病のリスクはお母さんのお腹の中で決まる?


成人してから糖尿病や高血圧などの生活習慣病にかかるリスクは、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる時に決まるという学説があるそうです。

妊娠中の過度の体重増加は妊娠中毒症などの原因にもなるため、妊娠中もダイエットなどをして、できるだけスマートにというのがベターと信じているお母さん方が少なくないようです。

しかし、妊婦の体重の増加がおもわしくなければ、赤ちゃんの体重が低くなることも事実で、1980年頃から体重が2,500c未満の低体重出生児の割合が明らかに増え続けており、今や約1割に達しようとしています。

晩婚・晩産傾向が強まるにつれて高齢出産が増えていることも背景にあるのでしょうが、妊娠中もスタイルを気にする女性が増えたことと無関係ではないようです。

子宮内で栄養供給が不足がちな胎児は、成人後に肥満になりやすいというマウスを使った実験の研究成果が、昨年6月に京都大学・産婦人科から発表されています。

このメカニズムには、脂肪細胞から分泌される「レプチン」という体重低下作用をもつホルモンが影響しているらしいことが確認されています。

栄養不足の状態から、急に豊かな栄養環境に移行することによってレプチンが急激に大量に産生され、食欲に関与する脳の視床下部という組織の反応性を低下させて満腹感のコントロールが悪くなるために肥満が加速するんだそうです。

これはあくまでマウスを使った実験の成績ですが、ヒトにも当てはまると考えられており、低栄養に起因するレプチン異常が脂肪をため込む「倹約型体質」を招くものと推測されます。

日本人はもともと低カロリー食に慣れてきたのに、高度経済成長がもたらした豊かな生活と栄養過多が肥満を加速させたことは間違いないでしょう。

倹約型体質の人のカロリー摂取量が急激に増加すると肥満が起こりやすく、日本人は肥満度が低くても糖尿病になりやすい体質であるとも言われています。

糖尿病の人が急増している原因はこのあたりにありそうです。

肥満傾向」と診断される小学生が急増し始めたのは1985年頃からであることは、文部省の学校保健統計調査でも明らかにされています。

1984年と20年後の2004年で肥満傾向児を比較すると、小中学校の各学年とも、数%から10%くらいは増加していることが認められており、今や小中学生の10人に1人は生活習慣病の予備軍だとみられています。

高度肥満(標準体重より50%以上も重い)の子どもは、そうでない子に比べてテレビやテレビゲームを楽しむ時間が長いことも証明されています。

カロリー摂取量が極端に増えたことばかりではなく、スナック菓子やジュース類の摂りすぎに運動不足、ストレスの影響などが複雑にからみ合って子どもの肥満を助長していると見られます。

米国でも、子どもの肥満問題は更に深刻で大きな社会問題となっており、国を挙げての肥満対策を強化しています。

ブッシュ政権は「子どもの栄養および女性・児童(WIC)再認可法」を制定すると共に、「子どもの栄養プログラム」などに莫大な予算を割いて、肥満対策に本腰を入れようとし始めました。



子どもの肥満とジュース (2006.5.2追記)

 子どもの肥満問題の悩みは各国共通のようです。

オーストラリアのビクトリア州政府は、公立の小中学校、高校にある売店や自販機でのジュースの販売を今年中に禁止することにしたそうです。

 豪州では、子どもの肥満の急増が社会問題化しており、20〜25%が肥満状態にあり、ジュースはその一因とみなされています。10代の子どもの3人に1人が毎日2缶、10人に1人は1g以上も飲んでいることも紹介されています。

今回の措置では、販売だけでなく、持ち込みも認めない方針で、私立学校にも同調が呼びかけられているとのことです。 
(5月2日−共同通信)


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