「やせ細る男児」?


 昨年夏に施行された「食育基本法」に基づいて、今年3月には「食育推進基本計画」がスタートし、「朝食を欠く国民の割合の減少」を目指して、朝食を取らない小学生を10年度までにゼロにするという目標が掲げられました。

 朝食を取らない「欠食」や、一人ぽっちで食べる「孤食」が社会問題化するようになって10年以上も経ちますが、朝食を取らない生徒は依然として増え続けています。

 小中学生や高校生だけではなく、20代男性の34%が「朝食を抜いている」ことは、厚生労働省が先ごろまとめた「04年国民健康・栄養調査」でも明らかにされています。(ちなみに、全体の欠食率は10.5%で、男性12.6%、女性8.7%。30代男性の欠食率は25.9%、40代は19.0%で、同年代の女性はこれよりも10ポイント以上も低かったそうです)

 朝食を取ると血糖値が上昇し、知的活動を高めることができます。

 脳は血糖以外をエネルギーとして使えないので、欠食をすると脳へのブドウ糖の補給が不足し、知的活動が低下すると考えられています。

ある理学者の研究でも、欠食によって空間の記憶や単語を記憶して想起するといった実験の成績は低下し、血糖値と成績が比例することが裏付けられています。

 朝食を取らないと、体温も上昇せず、生体のリズムも乱れて集中力が欠け、気も荒れるようになることは既にお話したとおりです。

 ところが、数年前には「1日2食で十分」、肥満などの生活習慣病の予防のためにも朝食を抜いて400〜500`iも減らすことができる」という意見や、「朝食有害説」まで飛び出して、ダイエット中の女性の福音になったことさえあります。

 朝食を抜いても、極端な低血糖状態にならないとは言うものの、一定以上の血糖を維持しないと脳はブドウ糖を摂取しにくい構造になっており、食直後の血糖上昇時に、脳は最も効率的にブドウ糖を摂取できるという意見のほうに説得力がありそうです。

 国民の健康づくりのための「健康日本21」計画では、欠食率の目標値は15%以下になっていますから、このままでは、とても達成できるようなレベルではありません。

 20代男性の欠食率は既に10年ほど前から3割で、その後も増え続けていることは間違いなさそうです。

 標題の「やせ細る男児」は、5月        22日づけの毎日新聞の記事ですが、東京のある公立小学校での話として、朝食のみならず1日におにぎりや菓子パンしか与えられず、やせ細って元気をなくした男児の逸話が紹介されています。

 さらに、「家庭の機能低下は学校現場で痛感している。状況は悪化の一途だ」という校長の談話ものせられています。

働きに出るお母さんが増えたこともあって、デパ地下などで調達した惣菜を自宅に持ち帰って食べる「中食」がブームとなり、栄養面に配慮した食事や、おふくろの味は遠い過去のものとなりつつあるようです。

食育基本法も大事ですが、先ず家庭がしっかりした生活習慣を取り戻し、子供にバランスのとれた栄養価に富んだ食事を与えるようにすることが、何よりも大切なのではないでしょうか。


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