〜子どもの肥満〜

睡眠と肥満

「眠らぬ3歳 末は肥満?」

3歳児の睡眠時間が、中学生になった時の肥満と関係するのではないかという興味深い研究についての成果が報道されています。(6月26日、朝日新聞 「眠らぬ3歳 末は肥満?」 )

富山大学大学院・公衆衛生学教室の関根道和助教授らの研究によると、3歳児のうち、睡眠時間が9時間未満の幼児は、11時間以上の幼児に比べて、中学1年生までに肥満になるリスクが1.6倍になるんだそうです。

睡眠時間が、10時間台と11時間以上の3歳児は、いずれも中1までに約12%が肥満になったものの、9時間台では15%、9時間未満では20%になるという結果でした。

何故そうなるかということについては、睡眠時間が短いことで、脂肪を分解する働きを持つ「成長ホルモン」の分泌量が減ったり、交感神経の活動がおさまりにくくなり、血糖値が上がったりする可能性があるからではないかと推論されています。

紙面では、「成人でも睡眠時間が短いと肥満になりやすいというデータがある」ことも紹介されており、「幼児期の睡眠不足は、ホルモンを制御する脳にも悪影響を与えている可能性があるのでは」 というコメントものせられています。

生活習慣/テレビを見る時間 と しつけの状況

厚生労働省が、昨年12月に発表した「第4回 21世紀 出生児縦断調査」によると、3歳半の子どもの3人に1人が毎日3時間以上もテレビを見て、午後10時以降に就寝しているということです。

 テレビを見る時間は、「1〜2時間」が39.4%と最も多く、「2〜3時間」が14.3%、3時間以上が35.6%となっています。

 子どもの食事の様子についても、40%の親が「落ち着いて食べない」、「食べる量にむらがある」ことを心配しており、12%が「朝食を食べないことがある」と回答しました。

 しつけの状況については、「あいさつや返事」、「遊具の順番を守る」 は身についているものの、「テレビやゲームの時間を決める」や「人の話を最後まで聞く」は、身についていない代表だったと報告されています。

 この報告でも解かる通り、幼児は親の言うことをなかなか聞いてはくれないもので、そこにしつけの難しさがあるとも言えましょう。

結果の数字には、聞き分けのいい子とそうでない子というように、子どもの性格や個性ということも影響しているのかも知れませんし、しつけに無頓着な親かやかましい親かといった保護者の姿勢や生活規範が関わっている可能性も残されています。

わが子の睡眠時間に余り関心を払わない親は、食習慣や食育などについても余り気にすることがないのかも知れません。

睡眠時間と肥満の関係の解析には、このようなむずかしさと、多方面から進める必要性があるという極めて厄介な問題があるようです。

子どもにもメタボリック シンドローム?

 最近、「メタボリック シンドローム」という言葉を、よく見たり聞いたりすることがありませんか。

 メタボリック シンドローム(内臓脂肪症候群)とは、動脈硬化の発症にかかわる大きなリスクファクター(危険因子)とされてきたコレステロールよりも、脂肪の一種である血中「トリグリセライド」の増加、高血圧、肥満、耐糖能異常(糖尿病またはその予備軍)のうち3つ以上が一個人に集まった場合の危険度が、そうではない対象者の30倍以上に跳ね上がることが分かって、このような重なりが、動脈硬化には要注意として名づけられたものです。

 血糖や血圧などの個々の値が基準値を少し上回るくらいでも、肥満に重なると動脈硬化による心臓病や脳卒中を起こすリスクが高まりかねない「メタボリック シンドローム」という状態が明らかになり、そうなる前の予備軍の段階で抑え込む「予防健診」の大切さが力説されるようになりました。

 肥満の研究からは、肥満の程度よりも、脂肪蓄積の部位の方が問題であるということも分かって、内臓脂肪の蓄積が問題とされるようになってきたのです。

 内臓脂肪は、トリグリセライドを貯めやすく、またそれを燃やしやすい脂肪組織であることがわかっています。

 今年の5月8日、厚生労働省は「平成16年国民健康・栄養調査結果」を発表しました。

この調査では、メタボリック シンドロームを持っている人や予備軍は、40〜74歳男性の2人に1人、女性の5人に1人であることがわかり、ウエスト85p以上の男性や、90p以上の女性は要注意ということになって、世間を騒がせたのです。

「腹囲」という誰にでもわかりやすい指標が、基準に取り上げられたことが話題をさらった理由に挙げられていますが、この数字の真実味に疑問があるとして週刊誌などでも取り上げられ、物議をかもす結果となりました。

 このようにメタボリック シンドロームは大人の病気として問題にされているのですが、最近は、肥満に高脂血症や高尿酸血症などを合併し、メタボリック シンドローム予備軍と考えられる子どもが少なくないことが報告されています。(06年4月15日、産経新聞「飽食社会への警告:小児にも内臓肥満の兆候」)

症例の中には、既に動脈硬化の兆候を示す子どもも見られるようですが、こういう子どもも急に心筋梗塞を起こすことはなくても、将来の発症時期が早まったり、糖尿病や痛風など、肥満にともなう合併症が起こりやすくなるといった可能性もあることも懸念されるそうです。

早期発見が急務であるとして、厚労省の研究班の班長を務めておられる浜松医科大小児科の大関教授は、小中学生用の診断基準をまとめられました。この条件に当てはまる体格の子どもは、中性脂肪や血糖値が高いなどの生活習慣病とみられる症状が表れることが多いとされています。

  @必須条件としては、男女とも、ウエストが80pを超えるか、ウエスト÷身長が 0.5以上になることが挙げられています。

A血糖値が100mg/dl 以上

B中性脂肪値が、 120mg/dl 以上  または

HDLコレステロールが 40mg/dl 未満 

C血圧  125/70mmHg 以上


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