太陽の恵みと罪

熱中症と日焼けに注意しましょう!



 梅雨とは思えぬ猛暑が続いています。照りつける太陽を見ると恨(うら)めしい気分になりますが、太陽なしに生物が生きていけないことは言うまでもありません。

われわれは太陽の恵みとともに、紫外線の害や暑熱障害などの負の面も同時に受け入れざるをえないのです。

毎年、夏休みが近づくと「熱中症」の記事が新聞に登場することが少なくありません。特に、中高校や大学のクラブ活動で運動中に失神したり、けいれんを起こしたり、時には死亡したといった報道が目につくようになります。

 炎天下でスポーツや作業をしていて、気温が28℃を超えると、めまいやけいれんを起こして倒れる人が増えますが、 これは「熱中症」によるものです。

熱中症には、血圧低下によって起こる「熱失神」、大量の発汗による脱水がもとでめまいや吐き気などをきたす「熱疲労」、大量の発汗に対して塩分を含まない水の補給だけ行なった場合に起こる「熱けいれん」、更に重症化すれば、体温上昇で意識障害が引き起こされ、時には死に到りかねない「熱射病」(日射病)などに分けられています。

熱中症はなにも猛暑の続く夏だけとは限りません。春でも、車内に放置された子どもが熱中症になり命を落とすケースは珍しくはないのです。

外気温が25℃くらいでも、締め切った車内では10数分でさらに10℃以上も上昇し、日光が当たる部分ならすぐに50℃を超えることも分かっています。

は、皮膚の表面で蒸発することによって熱を逃し、体温が上昇するのを防いでいるのですが、最近の子どもは、余り汗をかかなくなったと言われています。

350万個あるとされる「汗腺」は、生まれてから2歳半までの間に、どのくらいの暑さにさらされたかで決まるといわれていますが、戸外で遊ぶ機会も少なく、エアコンの利いた室内で過ごすことが多いと、汗腺の働きが悪くなるのは当たり前のことかもしれません。

おまけに幼い子どもは体温の調節機能の発達が不十分なために、熱中症になるとすぐに重症になりかねないのです。

熱中症を予防するには

@     熱中症」という、時には命にかかわる病気があることを知っておいてください。

A     肥満の人や、寝不足、疲労などは熱中症の危険因子です。少しでもおかしいなと思った時には練習を休むようにしましょう。

B     猛暑だけではなく、湿度が高いときも要注意です。熱中症の死亡例の約4割は気温30℃以下の環境で発生しています。

C     車を離れる時は、いくら涼しくても子どもを車内に放置してはいけません。たとえ、カークーラーをつけていても危険にかわりはありません。

D     炎天下では、長時間遊んだり、激しい運動は避けましょう。 30分に1度は休憩をとるようにすることが大切です。

35℃以上の環境や、急に気温が上昇したときには、原則として運動を中止しましょう。

E     通気性や吸湿性に優れた素材の軽装をこころがけ、外出時には帽子や日傘・日覆(おお)いで直射日光にあたらないようにすることが大切です。

F     こまめに休憩と水分補給をしましょう。単なる水よりもスポーツドリンクやアクアライトのような乳幼児用イオン飲料のほうがベターです。

G     顔面が蒼白となったり、手足の脱力感や筋肉のこわばり、頭痛・動悸・吐き気などを感じたら、それは熱中症の始まりかもしれないと考えて直ちに休むようにしましょう。


もし熱中症にかかったら

@     衣服のボタンやベルトをゆるめて、涼しい場所に移動しましょう。

あお向けに寝かせ、足を高くした姿勢を保つようにしてください。

A     全身に水をかけ、ぬれタオルを体に当ててうちわや扇風機で風をおくり、氷やヒエピタなどを首やわきの下、太ももの付け根などに当てて体を冷やすようにしてください。

B     水と塩分を十分にとらせることが必要ですが、いっきに大量を飲むと吐くことがあるので少しずつ与えましょう。スポーツドリンクやイオン飲料の方がベターです。

C     ふらついたり、ろれつが回らなくなったり、応答が鈍いなど、意識障害によると思われる症状がみられた時は、すぐに救急車を呼んで病院に搬送することが必要です。



 

 

日焼けは皮膚がんのもとになるかもしれません


小麦色に日焼けした肌は健康のシンボルと考えられていた時代もあったのですが、日焼けはシミやしわをつくりやすく、皮膚がんにつながる危険性さえ秘めているというのですから、安心はできません。

紫外線の刺激を受けた皮膚細胞は「メラニン色素」を増やしてそれ以上の紫外線の害から皮膚を守るように働きます。日焼けをすると肌が黒くなるのはそのためなのですが、肌の白い欧米人よりも日本人のほうがこのメラニン色素が多いために、皮膚がんにもなりにくいのではないかと考えられています。

日光の紫外線は皮膚細胞のDNAに傷をつけます。わずかな傷なら修復されるのですが、大量の紫外線を浴び続けると、傷は修復されずに細胞が死んだり、がん細胞に変身することになります。

このような理由から、米国立環境保健科学研究所は00年5月に、「日焼け」を発ガン因子のリストに加えたのです。

成層圏のオゾン層は、有害な紫外線から地上の生物を守る役割を果たしています。

最近は、オゾンホールとか地球温暖化という言葉がよくでてきます。

紫外線には、UV-A、UV-B、UV-Cの3種類がありますが、このうち皮膚がんに関係するのは主にUV-Bで、夏に多くなる傾向があります。

エアコンや冷蔵庫用の冷媒に使われるフロンやハロンなどは、成層圏にあるオゾン層を破壊し、その結果として地上に到達するUV-Bの量が増えることになります。

南極上空はオゾンの減少が進みやすく、オゾン濃度が低くなって穴が開いたようになったところをオゾンホールと呼んでいます。

1987年に採択されたモントリオール議定書では、オゾン層を破壊する物質の生産削減などの規制措置が定められ、1990年のロンドン会議では15種のフロンを2000年までに全廃することが決められたのです。

米航空宇宙局(NASA)は03年7月に、「オゾン層破壊の速度が、過去5年間に鈍化したことを確認した。オゾン層の回復傾向を示す初の直接的証拠だ」と発表しました。

その翌月、欧州連合(EU)は、地球温暖化・京都議定書が排出削減対象にしている「代替フロン」について、2010年までに排出量を4分の1減らす規制を加盟国に提案しています。

このような段階的な規制強化で大気中のフロンは減少したものの、オゾン量はなお減少し続け、回復までにはあと数十年かかるというのが現状です。

地球上に降り注ぐ紫外線がどうにもならない以上、われわれは紫外線を浴びないように自衛するしか方法はないことになります。

紫外線の多い季節には外に出ないようにすると言ってもそうはいかないでしょう。日傘や帽子、長袖で直射日光を防ぐとともに、日焼け止めクリームを上手に使うことが大切ではないかと考えられます。

色々な日焼け止めが発売されていますが、効果の違いは日本化粧品工業連合会が定めた「SPF」や「PA」値で表されます。このうちSPF値はUV-Bを防ぐ指標で、数字が大きいほど防護能が強いことを示しています。

子ども用ならSPF 15〜30くらいが適当ですが、刺激の少ないタイプを選ばれることをお奨めします。