ハチ に ご用心

蜂に刺されると、時にはショックを起こしかねません



 夏休みで野山に出かける機会が多いせいか、「集団でハチに刺された」とか、「ハチに刺されて死亡」 という報道に接することが少なくありません。

8月がピークになるのは毎夏のことです。

中にはスズメバチにさされて命を落としたという不幸な出来事もみられます。

死亡例の殆どはオオスズメバチによるもので、平均すると毎年40人くらいにも上るそうです。

いたずら好きで怖いもの知らずの子どもは、ハチの巣をつついて刺されたりすることも珍しくはありませんから、ハチ毒アレルギー体質の子は特に用心が必要です。

 夏はハチの活動も活発で、働きバチが巣を守る防衛行動も高まり、攻撃的になっていますから、注意しなくてはなりません。

事実、蜂刺症の約9割が7〜9月に集中しています。

 人を刺すハチとしては、スズメバチ類アシナガバチ類、ミツバチ類、マルハナバチ類などが主なものですが、山野のみならず都市部の中心でもハチが増えて刺されるケースが増加していると見られています。

 ハチに刺されて命にかかわるという場合、これはハチ毒によって引き起こされるアレルギー =アナフィラキシー・ショック によるものです。

通常、刺されて15分以内に発症し、寒気や吐き気、めまい、皮膚の紅潮、全身の蕁麻疹様のブツブツから、更に進めば「呼吸困難」や「意識障害」などの典型的なショック症状が現れて血圧の低下が始まります。

のどが詰まったような感じや、口が渇いた感じ、口の中がしびれたような感じ、全身の力が抜けたようで立っていられない時は、危険信号です。

このようなアナフィラキシーを思わせる症状を呈する人はおよそ20%で、約2−3%の人にショック症状が出るとされています。

 症状の発現が早ければ早いほど重症になりやすいので、刺された直後に上記のような症状があらわれた場合には、速やかに救急車で病院を受診するようにして下さい。

 ハチ毒に対するアレルギーの軽い人は、刺された部位の痛みやかゆみ、発赤・腫れといった局所症状のみで治ることが殆どです。

ショックを起こすのも2度目に刺された時が危険であると言われていますが、初めて刺された場合にでもアナフィラキシーを起こすことも稀ではありません。

数日経ってから症状がでる「遅延型反応」を呈する場合もあるので、要注意です。

 最初に刺された時はショックにならなくても、その刺された箇所が大きく腫れて、傷が引くのも数日以上かかるような場合には2度目の蜂刺の時にはアナフィラキシーを起こしやすいと言われていますから注意が必要です。

 ハチに刺されると、ハチ毒が体内に取り込まれ、体内でハチ毒に対する特異的IgE抗体というたんぱく質が作られます。アナフィラキシーショックは、このIgE抗体が関与するT型アレルギーによって引き起こされるのです。

 ハチに刺されたことがあってアナフィラキシーが心配な人は、このIgE抗体の量を調べてもらっておくと良いでしょう。

ハチに刺されないようにするには

@巣に近づいたり、棒で突っついたり、巣に石を投げたりしない。特に、巣から5b以内には近づかないこと。

巣に振動を与えたり、巣の前を急に横切るのも危険です。

A巣に近づいた人に対して、ハチは高い羽音を出して飛び回り、オオスズメバチでは顎をかみ合わせてカチカチという威嚇音を発します。 これは危険信号です。

人を警戒してハチが威嚇している証拠ですから、できるだけ速やかに、走ったりせずに、遠ざかるようにしてください。

Bハチの威嚇や攻撃を受けたときは、大声を出したり、手を振って腕などで払いのけることは危険です。

ハチの眼は視野の関係で地表近くは見えにくいので、姿勢を低くしてハチの視界から外れるようにすることです。

目を閉じ、姿勢を低くして、巣の近くから静かに離れるようにしてください。

ハチは頭や顔を狙って飛来し、まず腕や手を刺し、次いで、頭や顔を攻撃してきます。

   逃げ切れず、ハチが体にとまってしまったら、手で払わずに、刺される前に一気に叩き潰してください。

C巣からいっせいにハチが飛び出して来た時は、ハチが攻撃に移ってきたしるしで、激しく興奮すると何度でも襲って刺してきます。

Dハチを刺激するような衣類、匂いなどをさけること。純毛の衣服も危険です。

スズメバチは、黒い物に最も激しく反応し、攻撃を加えてきます。野山に行くときは、白色の服を着るようにしましょう。

香水やヘアスプレー、体臭などにも反応して襲ってきます。

Eハイキングの時は、長ズボンに手袋というように、肌の露出を最小限に抑えるようにしてください。

スプレー式の殺虫剤や、防蜂網を持参するのも一つの方法でしょう。

Fハチがいそうな場所で、においの強い果物や、ジュース等を飲まないこと。ハチが誘われて寄ってきます。

飲んでいるジュースの缶の中にもぐりこんで、知らずに缶に口をつけた人を刺すこともあります。

G巣が近くになくても、干してある洗濯物、自動車内への侵入など、危険はいっぱいです。洗濯物をとりいれる時は、ハチが止まっていないかどうか確かめ、自動車の窓は必ず閉めておくようにしてください。

ハチに刺されてしまったら

@ ハチは何度でも攻撃してきます。ハチに刺された場所から速やかに離れ、指でつねるようにして毒を搾り出した後、傷口を谷川などのきれいな水で洗いつつ冷やしてください。

A 以前に刺されて強く腫れた経験がある場合: 手や足を刺されたときには、心臓に近い方をゴムバンドやタオルで強くしばるようにしますが、手足の先の皮膚の色に注意して、数分後には一旦ゆるめるようにしましょう。

B   アナフィラキシーショックを思わせる症状が見られた場合、速やかに救急車を手配し、決して背負わず、移送も担架にのせて運ぶようにしてください。

 C 過去にアナフィラキシーを経験したことのある人や、血液検査でハチ特異的IgE抗体が陽性で、アナフィラキシーを起こす可能性のある人は、

『携帯用エピネフリン自己注射キット(商品名; エピペン EpiPen メルク製薬株式会社製)』 を携行すると安心です。

小児や、食物によるアナフィラキシーなどは適用になっていませんでしたが、05年3月から、小児や蜂毒以外のアナフィラキシーも対象となりました。ただし、体重15`以上が適用となっているため、乳幼児への使用は処方医の判断に委ねられることになります。

    (エピペンは米国製で、平成7年に国有林業従事者用に輸入され、平成15年に厚生労働省の認可がおりて、販売が開始されるようになりました。

ただし、エピペン処方医師登録受諾医師からしか処方は受けられない決まりとなっています)


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