ゆっくりと よくかんで

 朝食をぬいたり、カレーやスパゲッティなど余り噛まなくてもすむ食べ物を好む子どもが増えていることもあって、「食育」の大切さが叫ばれていることは既にお話しました。

1回の食事で噛む回数もだんだん少なくなってきて、60年前と比べると約半分、平均で620回なんだそうです。

そのせいか、硬いものをうまく噛めない子どもが増えていることも事実ですが、よく噛むことが脳を活性化させ、健康を維持するのに重要なこともわかってきています。

よく噛むことによって、「咀嚼筋(そしゃくきん)」が発達しますが、この噛むときに使われる4つの筋肉は下顎と側頭骨に付いていて、顔や眼の感覚をもつかさどっている「三叉神経」という脳神経の支配を受けています。

よく噛むことによって、三叉神経が刺激され、脳機能が活性化されるという仕組みなのです。

十分に噛まないとあごの発達も悪くなり、顔の形も変わって下あごがほっそりしてくるばかりか、口をぽかんと開けていたり、知能や発声、発音の発達にも関係してくると言われています。

唾液には、口の中の粘膜を保護し、細菌の増殖を抑えるという作用もあり、よく噛むことで唾液の分泌もよくなって虫歯や歯周病の予防にも役立つといわれています。

さらには、よく噛むことで糖尿病などの生活習慣病の予防効果があることも明らかになってきました。ゆっくりとよく噛むことによって、血糖値の上がり方も緩やかになり、少量の食事で満腹感も得られるため、肥満の予防にも役立つというわけです。

「早食いすると、それだけで肥満を招きやすくなる」ことが、名古屋大グループの調査でわかったそうです。(8月13日、朝日新聞)

3569歳の男女4,700人を対象に、身長や体重、食事内容、運動習慣といったデータをもとに、食べる速さを、「かなり遅い」から「かなり速い」の5段階に分け、食べる量の違いが体重に与える効果や運動習慣の効果も統計的な処理で調整して検討されています。

その結果、食べる速さが「ふつう」の人に対して、「かなり速い」人は男性で3.9 kg、女性で3.2kg重く、「かなり遅い」人は男性で3kg、女性で2.7 kg軽かったというのです。

早食いすると、満腹感を感じないうちに更に食べてしまうことになり、いきおい食べる量が多くなりがちというのが従来の説でしたが、食べる量を同じ量に修正して計算しなおしても同じ結論だったということです。

よく噛んで食べることの大切さや、唾液の分泌が増えれば虫歯の予防にも役立つというお話をしてきましたが、6年ごとに行われる厚生労働省の「歯科疾患実態調査」により、「子どもの虫歯は大幅に減ってきている」ことが明らかになったのは評価すべきことでしょう。

子どもの虫歯が減っている理由としては、「歯磨き指導の充実、フッ化物入り歯磨き粉が増えたこと、虫歯になりにくい甘味料などの流通」が寄与しているのではないかと分析されています。 

(厚労省認可のトクホ(特定保健食品)として、95年に「虫歯の原因になりにくい食品」、98年に「歯を丈夫で健康にする食品」が許可され、現在、チョコレートやアメなど約20品目が市販されているとのことです)

 

あらためて、肥満や虫歯の予防に大切なポイントを整理しますと、

@     ゆっくりとよく噛んで食べる。1口20回以上を目標に!

A     ゆっくり食べるのとダラダラ食いとは違います。

B     おやつや食事の回数を決め(少なめに)、甘い菓子類は3歳からにする。

  おやつの取り方がルーズな子どもほど虫歯が多いという調査データもあるからです。

C     最後の方に食べるものは、できるだけ砂糖の入ってないものにする。

D     夜間睡眠中は唾液の分泌量も減るので、夜食は避ける。

E     歯磨きは2歳半から本格的に始める。

F     生えて2、3年の歯が虫歯になりやすい傾向があるので要注意。

G     ストレスや不規則な生活は、虫歯のリスクを高めます。


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