体を動かしていますか?

− 「遊ぼうよ 地球はぼくらの 運動場」

 毎年10月の体育の日には、「体力・運動能力調査」の結果の発表が恒例となっています。

 この調査は文部科学省が毎年行っているもので、6歳から79歳までの約7万4千人を対象に実施され、走力や投力などの運動能力や、週3日以上運動をしている割合などが調査の対象とされています。

報告では、20年前と比較して、子どもの基礎的な運動能力が一貫して低下している事実が指摘され、とりわけ この10年間では、その前の10年間に比べて低下の幅が広がって、現代っ子の体力の衰えが顕著になってきている事実が判明しています。

さらに、「運動をしない小学生」 が毎年増えており、日常的に運動をする子どもの方がしない子どもより全ての項目で成績がよいということも明らかにされました。

小学校高学年(1011歳)で、体育の授業以外、放課後に野球をするなど週3日以上運動をしている割合をみると、11歳男子で59.3%、女子で34.8にとどまり、親の世代である20年前の昭和47年度のデータ78.8%、74.1%と比べてもそれぞれ19.5%、39.3%も激減し、3人に2人は日常的に体を動かさないという事実も分かっています。

50b走の平均タイムや立ち幅とび、ソフトボール投げなどの運動能力も、子どもの体力のピークとされる20年前と比べても、「走・跳・投」すべてで低下している事実が明らかにされ、その背景には外で余り体を動かさなくなったという実態があるからと考えられています。

これに比べて逆に、身長や体重は、親世代の同じ年齢の頃と比較しても伸びているのです。

このことは、ほかの同様の調査、例えば文部科学省の学校保健統計調査などでも明らかにされており、中学2年の体重・身長は30年前の中3とほぼ同じ、小6女子のそれは30年前の中1女子並みというように、ほぼ1年成長が早く早熟化傾向がくっきりと出ているようです。

ちなみに、中3男子の身長は30年で約6a高くなりました。

以上のような状況から、文部科学省では、子どもの体力向上に取り組んで「子どもの体力向上キャンペーン」 を展開しています。

冒頭に挙げた標語 「遊ぼうよ 地球はぼくらの 運動場」 は、平成18年度の優秀作品で、文部科学大臣賞に選ばれた鹿児島県の篠原啓祐くんの作品だそうです。

この文科省のキャンペーンの中で、「体力は人間のあらゆる活動の源であり、健康な生活を営む上でも、精神面の充実を図り、人間の健全な成長を支え、充実した生活を送る上でも重要なものである」 として、子どもの頃から積極的に「体力の健全な発達」を図る大切さが叫ばれているのです。

子どもの体力低下の原因として、学力重視・スポーツ軽視といった保護者や国民の意識の問題、生活が便利になって余り体を動かさなくなったこと等が挙げられています。

事実、05年の調査では、1日のテレビの視聴時間が長い子ほど運動が苦手という結果が示されています。

また、運動不足の原因として、

1.      学校外の学習活動や室内遊び時間の増加による外遊びやスポーツ活動時間の減少

2.      空き地や生活道路といった子ども達の手軽な遊び場の減少

3.      少子化や、学校外の学習活動などによる仲間の減少

を示して、屋外で遊んだりスポーツに親しむ機会をつくる等の環境に気を配ることや、そういった意識と努力の大切さを訴えています。

 外遊びやスポーツの大切さを意識し、子どもが体を動かす機会を増やすように努力することの重要性は言うまでもありません。

 交通戦争や遊び場の問題は、確かに少しはかかわりがあることでしょう。

しかし、テレビゲームや室内中心の生活に別れを告げ、昔のように屋外での集団遊びに戻るということの難しさは並大抵のものではなさそうです。

このことは、変質してしまった「子どもの遊びの文化」にかかわることであり、親や子どもの意識改革と努力が強く求められる難行のようにも感じるのです。

こういった世相や実態に危機感を抱き、体育専門の家庭教師を求める親や、遊びの講座を開設するスポーツクラブ、野球やサッカーのプロチームによるスポーツ教室が活況を呈するなど、子どもが体を動かしやすい環境を保証するような新しい動きがあることも紹介しておきたいと思います。

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